芦生の森へ

 京都と福井の府境に芦生原生林という有名な場所がある。車がないと行きにくい場所なのだが、幸いにもお誘いがあったのでハイキングに行くことにした。
 朝7時30分に京都駅に行く。台風23号の直後で、舞鶴や小浜に行くボランティアのバスが並んでいた。別の日なら行けるのになあ(来週は出るかな)。都ホテル前に集まったのは15人。やっぱり理科の先生が多い。4台の車に分乗して出発。堀川通りを北へ、北大路で曲がって東へ。もう京都を出て10年以上になるのに、街中を見ると胸が詰まるのが不思議。鴨川沿いにまた北に上がり、八瀬から三千院へ。367号を延々と北へ走る。茅葺きだったであろう屋根に鉄板をかぶせている家が増える。郵便局が目立つが、このへんの郵便局は民営化されたらつぶれそうだ。地元の人はどう考えているのだろうか。
 京都駅から2時間半あまり、朽木村を抜けてようやく美山町へ。長靴に履き替えて車を降りる。

 最近はあまり長距離を歩いていないので不安だったが、そういう気持ちを振り切るためにも挑戦したかった。 車を降りてからしばらくは普通の山道。シカのふんがある。足跡らしいものもチラホラある。クマが出るかもしれないというのでスズを持っていったが、それらしい跡は今回は全く見えなかった。

 30分くらい歩いて原生林の入り口へ。入山者名簿を出してゲートの横から林に入る。最初はまだなんてことない杉林。スギの幹にビニールテープが巻かれている。スギの樹皮をシカが食べるのを防ぐためだという。
 杉林を抜けるとブナ科の木が増えてきて"それらしく"なってきた。今回は芦生の北部の川沿いのコースで、谷間の湿原を通って杉尾峠までの往復、少し距離がある。台風の名残か川の水も濁っていて、川の石を拾ってみても水生昆虫はほとんど見当たらない。ところどころ川の淵にオイカワがいる。脇の細い流れにイモリがたくさんいた。イモリは遠目からでも目立つしそんなに速くは動けないので、鳥なんかに食べられそうな気もするのだが、見ているとのんきだ。キノコも目立つ。最近話題のスギヒラタケやシイタケまがいのもの、ツキヨタケ(暗くなると光る;持って帰ってみたかったなあ)、そしてスッポンタケも見つかった。スッポンタケは外見は緑色の球形で、切ってみると中は粘液、さらにその中は白い芯でいかにも菌のかたまり。キウイみたい。キノコは専門家でないと食べられるかどうかわからないので、みんな「食べてみたいけど……こわいなあ」の繰り返しだった。
 昼食で少し休憩してからさらに歩く。たしかに原生林で古い木があちこちにあるのだが、高木だけが目立ち低い木や草があまり見られない。下の方はスカスカという感じだ。トチの実の殻やドングリの殻がたくさんあるが、中味はない。シカがかなり食べているのだろう。この場所にクマがいたらイモリや魚をねらうしかなさそうだ。ニュースで「ドングリがない」というのは聞いていたが、こういう光景を実際に見るとクマが人里に降りるのもわかる気がする。
 歩き始めて3時間あまり、だんだん上りがきつくなる。一応道らしいものがあるが、ぬかるんだ狭い道はすべりやすく、少し怖い。台風による倒木がたくさんある。折れた跡が生々しい。
 お昼の2時すぎにようやく杉尾峠に到着。日本海が見えるかもしれないというので一番上から眺めてみるが、雲があってよくわからん。島が見えるような気もするのだが、雲海から山がのぞいているだけじゃないかという結論になった。残念。でもさすがにこれだけ歩くと達成感はあるなあ。山歩きが好きな訳じゃないけど、こういう気持ちよさはたしかにある。
 帰りはさすがに脚にきてヨロヨロ。足の親指に変な力がかかって痛い。普通の長靴は山歩きに向かないというのがわかる。しゃべる余力もなく足を動かすだけ。暗くなる前にようやく戻る。帰りの車で寝たらアカン!とか思うのだが、ついうとうとと…… 同乗の3人と総合学習の話をしてなんとか意識を持たせる。この話は結構面白かった。やっぱり現場の人の感覚は違うなあ。
 松ヶ崎で打ち上げ。理科の先生の話は面白いのだが、飲み会のやりとりはなんとなくまとまらなくて自分としては欲求不満が残る(まあ打ち上げだからこんなもんか)。研究会みたいなカッチリしたものではなく、飲み会のようなダラダラした話でもなく、中間をとったような内容の濃い話ができないかなあ。それとも自分の感覚がずれているのかしら。
 自分が想像していた「原生林」よりは開けた場所だった。行ってみてよかったとは思うが、やはり原生林でも日本は日本だなあ(?)というのが正直な感想だ。ともあれみなさんお疲れさまでした。(2004/10/27)

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