温泉けっこうでした

 以前塾の事務をしていた方が大分に住んでおられて、お誘いを受けていたので、福岡に行った帰りに寄ってみた。
 博多から直行バスに乗って2時間少し、疲れもあって車中はほとんど寝ていたがずいぶん遠い(熊本より大分が遠いとは思わなかった)。大分駅の近くで降りるとすでにTさんが待っていてくれた。彼女の車でさっそく出発。なんと行程表までつくってくれていた。ほとんど本職の観光ガイドですよ。
 大分から別府までは約12q、海沿いに国道10号を走る。右手ははるかに海、左手はすぐ山が迫る。扇山という芝のきれいな山(木を切った後が扇形の三角形になっている)を見せてもらった。毎年野焼きをしているとのこと。なんで木を切ったのかな? 何となく段ボールをしいててっぺんから滑ったら気持ちよさそうだ。
 別府に着き山の方へトコトコ坂を上ると、温泉の煙があちこちから上がっている。無理に温泉を出しているという感じは全くなくて、お湯があり余っているようだ。大分で温泉といえば湯布院だと思っていたが、歴史から言えばこちらが上だ。なかなかどうして。
 まずは腹ごしらえ。「岡本屋」という店に入った。店の近くに湯ノ花小屋というのがあって、湯ノ花(入浴剤)をつくっているのだという。藁葺きの小屋をのぞいてみると、硫黄のにおいと湯気の熱さの下に白っぽい粘土が見えた。温泉の煙(当然温泉成分を含む)と熱で入浴剤をつくるというのは江戸時代からのアイディアらしい。岡本屋の名物は地獄蒸しプリンで、昔風の甘みと苦みがおいしい。温玉うどんは今まで食べてきた讃岐うどんの味とは少し違うが、麺がなめらかでこれも美味。ここはもともと温泉旅館で店はおまけだったらしいのだが、店だけでも十分やっていけている気がする。
 次は「地獄巡り」。温泉の源泉で変わった景観の場所(9ヶ所)をこう呼んでいる。今回は海地獄に案内してもらった。海地獄は硫酸鉄でコバルト(フェリシアン?)ブルーの池。もうひとつ酸化鉄で赤茶色の沈殿がたまっている池(血の池地獄というのがあって、これのもっと大規模なものらしい)。どちらももちろん湯気もうもうで、赤茶色の池では「熱いですか?さわってみましょうか」「ちょっとこわいですね」などと言いながらさわってみたら、……やっぱり熱かった。お賽銭が落ちていたが、酸性のため表面はピカピカ。こういう光景は生徒に見せたいなあ。「鉄イオンの色は−−」「酸性の水の性質は−−」なんて説明する前に、迫力のある実物を見せたい。地獄巡りの入り口にはオオオニハスの浮いた池があって、天国の演出をしているようだ。せっかくオオオニハスなんだから、もっと大きいハスの葉があればよかったかな。
 さらに展望台へ。高台から海や街がはるかに見える。夜景になったらもっとよさそうだ。いかにもデートコースという道を小さい車でさらにトコトコ上がり、今度は本物の温泉へ。山奥に入り川沿いの道を上がり、芝石温泉という場所に着いた。「どうぞ入ってきてください。」「えっ!?」まさかここで入るとは。
 温泉は久しぶりで、露天風呂に至っては10年くらい入ってない。普段狭いお風呂にしか入っていないので、湯船で体を伸ばせるのがうれしい。さっきの岡本屋や地獄巡りではずいぶん硫黄のにおいがしたが、この温泉はさっぱりしていて入りやすい。露天風呂には学生さんらしき人が2人。夕暮れの空と黒ずみ始めた山の影が見える。露天風呂って「野生」に帰る感じがするから人気があるのかな。……Tさんは待合室で小さい子どもと遊びながら待っていてくれた。ひとりで入って申し訳ないです。
 最後は甘いもの。山から下りて街へ向かう道の途中に「甘味茶屋」があった。普通の料理もあるが、甘いもののメニューが多い。「やせうま」というのを2人で頼んだ。小麦粉で細長い団子をつくってきなこをまぶしたものだ。かなりボリュームがあって小食の人にはきつそうだ。味は……こんなもんかな。Yは普通のきなこもちでもいいなあ。団子汁がとてもおいしそうで、次のチャンスがあったら食べてみたいな。店にはカボスが一袋100円で売っていた。これもおみやげにしようと……思ったが、こんなに使い切れないかと思ってあきらめた。
 3時間あまり 詰め込んだ観光をさせていただいて、最後は別府港まで送ってもらった。見送ってくれたTさんは「今度は奥さんと来てください〜」。今度はこちらが京都観光案内をさせていただきやす。本当にありがとうございました。(2004/11/17)

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