受け継ぐ方法って……

 「受け継ぐ会・関西3周年記念集会」というものに参加した。戦争時に中国で戦犯として裁かれ、自らの罪に目覚め反省した元日本軍人の集まり(中帰連)の精神を受け継ぐ会、というものだ。
 自らの戦争犯罪を認め反省するという行為は非常に難しいものだろう。カルト天皇制の洗脳から逃れて「人間」に戻るためには、中国人の捕虜に対する人間的な扱い・人間としての関わりが不可欠だったと思うし、中帰連の方もそのように書かれている。中帰連は会員の高齢化のため解散し「受け継ぐ会」ができたのだそうだ。
 阪堺電軌の通るあべの駅前の通りは、日曜のせいか閑散としていて少し寂しそうだった。阿倍野市民学習センターには30人ほどの人が入っていた。バンドがリハーサルをしていて、時間になると演奏が始まった。「花は土に咲くキャラバン隊」という人たちだ。沖縄の反戦地主で平和運動の父と言われる阿波根昌鴻さん(2002年没)の思想を歌で広げようとするグループで、CDも出されているとのこと。阿波根さんはよく
 「平和憲法を世界中に広め、地球上から武器も戦争もなくしてしまう。そして、資源や富をすべての人々で平等に分け合い、それぞれの能力に応じて働き、必要なものを必要なだけ、感謝の気持ちで受け取れるような社会になるまで、私たちの平和運動は続けるのです。」
と言われていたそうだ。このバンドもその精神を受け継いでいるのだろう。5人組の歌はなかなかよかった。お金がなくて(……)CDを買えなかったのが残念だった。
 2曲聞いた後、高岩仁さんという映画監督がお話をされた。中国や東南アジアなどで戦争被害の取材をしている人だ。「教えられなかった戦争」という映画をシリーズで作っておられるとのこと。今回は主に東南アジアの取材の中でのお話を聞いた。

 高岩さんはもともとは旅番組などを撮ったりされていたそうだが、この映画の仕事を始めてから普通の仕事がパッタリ来なくなったそうだ。彼は何度も「利権を漁ることが戦争じゃないですか!」強調していた。この間読んだ本といいMLでの議論といい、結論はみな同じだ。戦争をするのは自由や民主主義やテロ打倒のためではなく、戦争によって儲けるためなのだ。高岩さんはこのことを学校で教えてほしいと言っていたが、私もそう思う。これは思想とか価値観とかではなく、事実なのだ。
 高岩さんの話の後、「受け継ぐ会」の活動紹介があった。元中帰連の人からの聞き取りや証言集会・学習会、訪中しての交流など色々されているようだが、高岩さんのお話のインパクトが強かったせいかもうひとつピンと来なかった(スミマセン)。戦争で人殺しを体験し、自分の罪を認め出直すという大きな経験から得られた思いや考えは、簡単に受け継げるものではないだろう。ある意味では「中帰連」より「受け継ぐ会」の方がよほど困難な活動をしていると思う。入会を勧められたが、もうひとつ思い切れなかった。自分勝手に言えば、会費を払うよりも雑誌「中帰連」を買って読んだ方が今の私にはキラクだ。逃げなのかな。  最後に、沖縄辺野古での新しい米軍基地建設に反対している人からアピールがあった。海上で反対運動をしている人が海に突き落とされ、ケガをしているのに放置されたとのこと。少しだけカンパを払った。ここまで来ると同じ話を何回も聞いているような気分になってくる。利権を目指す者のすることは、いつでもどこでも同じだ。
 戦争の、特に加害の記憶を受け継ぐ作業というのは、話を聞くだけでは不十分だろう。数年前掲示板で議論しているうちに思いついたアイディアなのだが、「予防接種としての戦争体験」がいいのではないかと思う。たとえば8月15日に、戦時中の日本を再現するのだ。天皇を神とあがめ、戦争に反対する者に拷問を加え(たことにし)、すいとんを食べ、わら人形でも突き刺した上で、日本人の加害の事実を映像などで見続けるのだ。これは自虐でも何でもない。当時の日本人がどれだけみじめだったか思い知ることで、自らの誇りを守る方法を考えるのが、最もこの国を大切にする方法だろう。人殺しを肯定し弁解し、カルト天皇制の洗脳から抜けられない人々こそ、まごうことなき「自虐」である。
 それにしても、現在の日本の侵略を止めるためにはどうしたらいいのだろうか。企業が海外進出することで、その国の人が難民になったり公害で苦しんだり労働運動家が殺されたりして、おまけに日本で失業が増えるというのはあまりにひどい。海外で「侵略」を行っている企業を調べて、不買運動ができないだろうか。海外でつくられた製品の購買を拒否し、海外であくどい活動をしている企業のものはできるだけ買わず、「まともな」企業が日本でつくっている物を積極的に買う。地元の生産物を地元で販売し地元の人が買うようになれば、さびれかかっている商店街が息を吹き返すことにつながるかもしれない。高くつくだろうが、そういう生活が真の意味でのゼイタクなのではないか。選挙の時だけ政治に関わるのではなく、経済のあり方と消費者としてできることを考えるのが、これからの世界を住みやすくするために必要ではないかと思う。(2004/12/14)


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