船頭さんそれぞれ

 連休中はほとんど家にいたのだが、1日だけ連れ合いが休みをとれたので、2人で柳川に行った。川下り+うなぎ+北原白秋邸を見る、という3本建てだ。
 家から自転車で西鉄薬院まで20分。福岡市は市街中心部が狭いので、自転車でどこでも行けるのが便利だ。特急に乗って50分で柳川。駅でもう川下りのチケットを売っていた。ゴールデンウィークで天気もよく乗船場は人でいっぱいだった。30分以上待って船に乗る。
 船頭さんがまた面白い人で、1時間あまり座りっぱなしの船中がまったく退屈しなかった。案内話がしっかりしているのはもちろん、冗談の入れ方、声の張り(3曲も歌ってもらいました)、お客の反応を見ながらの対応ぶりなど、さすがプロの仕事! と脱帽した。それほど観光には興味のない私も、船頭さんのお話とそのパワーに引きつけられた。話の内容はそれほど覚えていないが、話そのものの面白さだけが残る……というのがいいのかどうかわからないが、私たちにはそれで十分だった。関西ノリに飢えていた妻はもっとうけて「船頭さんのお話で魅力が5割増しだった」などと言っていた。静かに船に乗りたかった人には耳障りだったかもしれないが、とにかく私たちにとってはこの船頭さんでよかった。(ここここにも中村啓介さんのことが書いてあります)

 おそらくこれだけ話の面白い船頭さんはなかなかいないだろう。同じ料金でも乗り心地が違うとしたら、不公平な気もしなくはない。お客さんが船頭さんを選べるようにしたらどうかとも思うが、そんなことをしたら「干される」人が出てくるかもしれない。考えてみると教師も同じだ。もし中学校や高校で、生徒が先生を選べるようにしたらどうなるだろう。少なからぬ教師が商売にならなくなるだろうか。それとも生徒の気を引くために「話の内容は覚えていないが、とにかく面白い」授業をする教師が増えるだろうか。競争原理などと言う割には、オトナの世界には競争が入りづらいような気がする。(2006/5/27)


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