パワードライブ

 今年の塾の夏期講習はそれほどきついスケジュールではないが、それでも普段より授業量が多く、体力もそうだが精神的に疲れる。
 昨日 お盆休み前の最後の授業は、お盆の間の宿題を配り、ハッパをかけた。
 「行きたい高校は自分で決めるんや。誰かに言われたからやるんじゃなくて、自分のために努力しなさい。自分で決めた目標に挑戦してみなさい!」
 こういう話は内容よりも「勢い」が大切だ。こちらがどれだけ本気で言っているかを、子どもはちゃんと見ている。いい加減な気持ちで言えば逆効果になる。だから自分が自信を持てる言葉だけを選ぶので、たいてい毎回同じような言い方になる。自分が成長していない証拠とも言えるが、今は仕方ないか。
 中3は2次方程式の計算演習を授業内でやったが、かなり集中できていたと思う。成績がどうだろうが、一生懸命取り組んでいる子どもの顔は美しい。全然わからない子にゆっくり説明して「わかった〜そういうことか!」と言ってもらえるとうれしい。授業の後で「最近勉強が好きになってきた〜」なんて言ってくれる子もいた。なかなかそれが成績に結びつかないのが申し訳ないのだけど、まだまだ勝負はこれから。がんばろうね。
 このように反応しない子の方がもちろん心配で、全員をよく見なければならないのだが、みんなが真剣に問題を解いているのを見ているとつい安心してしまって、授業中なのにボーッとしてしまう。反省いたします。
 中2は1次関数の求式練習。問題を解くスピードに個人差がありコントロールが難しい。もう少し予備の問題をつくっておけばよかったかもしれないが、今日は勢いで行こうと思って、ある程度速い子に合わせて次々問題を解かせた。普段はゆっくりやっているのでビックリした子もいたが、たまにはこういうペースにも慣らしておいてください。ってこんなところに書いても仕方ないね。
 中1は方程式の計算。移項でまだつまづく子もいるが、前回かなり手順を踏んでくどくど説明したので、ゆっくりだがなんとかできている。ここは大事なところだからね、ゆっくりでいいからきちんと書いてちゃんと解きなさい、と連呼する。夏休みだけ塾に来る子もいるので、なんとか基本だけは頭に入れてほしいが、なかなか全体を見切れなかった。「先生、今日は気合い入っとるね」などと言われたが、普段はどうなんやろ、と自分に突っ込んでしまう。
 中2の連立方程式の文章題テストで1時間近く居残りさせた。福岡は公立入試で毎年この文章題が出るので「これがイヤなら引っ越しなさい」などと言いながら待っていたら、何人かずいぶん粘って解いてくれた。なかなか正解までは行かないが、粘って考える力をつけられただけでもよかったと思う。
 教えることには技術や準備や根気が必要で、それらが教師の基盤をつくっていると思うが、勢いというかパワーのようなものも重要だ。余裕がなくて準備不足のとき、自分の持っているものだけで勝負しなければならないとき、知識や経験だけで切り抜けられる場合もあるが、なにより持ち合わせの「熱気」を子どもに伝えることに頼ってきた。それがいいことだとは言えないが、子どもがそのような"熱気"を必要としていることも事実だ。若さがなくなるにつれて「パワー」も落ちているが、時には半ば力任せでこんな授業をやってみることで、自分の中にまだ熱気があることを確かめてしまっているのかもしれない。考えてみれば、私自身がずっと子どもから「熱気」をもらっているのだ。それを色々な形で子どもに返していくことが、私の仕事であり生きがいなのだ。パワーを失うわけにはいかない。大阪から帰ってきたら、またよろしくお願いします。(2006/8/12)


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