等積変形にはまる

 中2数学は2学期の後半から延々と証明の練習をしていて、教える方も解く方もいささかうんざりだった。生徒は私の顔を見る度「まだ証明やるの〜〜?」と言う。
 本当はもっと違う視点からも切り込んでいって、論理の魅力をうまく教えられればいいのだろうが、そこまでの力も時間の余裕もない。なんとか平行四辺形の証明まで終わり、次の等積変形になっても、子どもたちは「まだ図形やるの〜〜」という感じだった。
等積変形の原理  等積変形とは「面積の等しい三角形をさがす・つくる」というもので、作図や関数がらみの問題もあるのだが、よくあるパターンとして図を見て面積の等しい三角形をさがす、というものがある。以前作っていた図をそのまま使って問題を出すと、多くの子はウェーッという顔をしていたが、何人かが食いついてきた。ゲーム好きの男の子たちが、誰が早く解けるかを競い合う。成績と関係なしに仲間内で解くスピードを競争したがる。数学の問題を解くのを「ゲーム」的に感じるらしい。なんとなくひっかかるものもあるが、意欲的なのはありがたい。
 その中のある男の子が「もっと難しい問題がほしい」というので、休日につくってみた;


(1番は23個、2番と3番はそれぞれ12個)
 こんなんホントに解くんかいな、と思っていたら、ゲーム仲間でない他の子が面白がって解きだした。証明をいやがっていた子たちだ。普段手を出しそうにない女の子が「私がやる!」と言ってプリントを持って帰り、学校の休憩時間をつぶして2問解いてきた。1番はのこり2個、2番はのこり1個まで粘ってきたのには正直驚いた。普通のオトナでもここまではなかなかできないだろう。
 こういうパズル的な問題に「はまる」力というのは、どこから育つのだろうか。またその「はまる」力を継続したり、他の分野に広げていくのはどういう仕組みで起こるのだろうか。教育心理学という学問があるのだから、ぜひそのへんを研究してみてほしいところだ。この子たちももう中3になるが、受験だけを意識するのではなくそのあたりの「はまる面白さ」も追求してみたいと思う。(2007/3/21)


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