デモで右翼に絡まれる

 10月21日は国際反戦デーとのことで、久しぶりに反戦デモに行ってみた。
 天神の警固公園は西鉄天神駅の裏にあって、街中なのに緑の多いきれいな公園だ。カップルや買い物途中で休憩している人がたくさんいたが、その中で昔っぽいプラカードを持った人々が40人ほど集まっていた。
 デモの前の集会にはあまり興味がないので、デモが始まるまで公園のあちこちを見回していると、針灸士の人たちがアピールしていたり、どこかのラジオの街頭生放送をやっていたり、なんだかゴチャゴチャだ。お互いがお互いに無関心にやっているのはなんだか気になった。せっかくだから「親睦」を深めたらいいのに。
 やがて集会が終わり、天神一周デモが始まった。プラカードをお腹と背中につけ、自転車を押しながら最後尾を歩く。シュプレヒコールをやっていたが、恥ずかしいしあんまり納得できないのでいつも遠慮している。「テロ特措法を粉砕するぞ!」とか言っても実際"粉砕"できるわけでもなし。
 人のよさそうなお巡りさんが「この自転車が最後尾ですね?」と確かめながら一緒に歩く。

 渡辺通に出てしばらくすると、急に警官がたくさん集まってきた。なんだろうと思って見ていると、右翼の街宣車が反対車線からターンしてデモの近くに寄ってきた。
「デモをやめんかい!」
「売国奴は出ていけ!」
「自衛隊のみなさんは日本のために働いてるんだ!」
 3週間前の"ヤンキー"を思い出した。間に入っている警官は「挑発しないでください」と言う。写真だけ撮った。

 車道を歩いているデモにそれまで関心を示さなかった人たちが、この騒ぎでなんとなく車道に注目しはじめた。
 ……あの人たちは私たちと右翼をどんな気持ちで見ているのだろう。亀○親子のような威嚇を続ける右翼をうっとうしいと思うのか、そんな右翼を"呼び寄せた"デモを疎ましく思うのか、どうでもいいのか。聞いてみたいような気もした。
 でも実際には、バス停のところで男の子が手を振ってくれたので笑って振り返したのが精一杯。
 昭和通りに入ったところで右翼は離れていき、とにかく無事に警固公園に戻ってきた。締めの集会の途中でサヨナラして帰宅。

 沖縄では11万人の集会があったというのに、九州第一の都市の反戦デモは40人。やっぱりお年の方が多いのも気になった。2人だけ若い人がいて、シュプレヒコールで大声で叫んだりホイッスルを吹いたりしていた。「給油するならオレのバイクに給油しろ」というプラカードには、笑った(右翼に突っ込まれていたけど)。

 イラクだろうがアフガンだろうが、アメリカが軍隊を派遣し人殺しを続けていることはまぎれもない事実で、そのアメリカの艦船に給油すること自体が「私たちが間接的に人殺しをしている」証拠だ。そんなことは例の右翼だって、うすうすはわかっているだろう。
 テレビで「アメリカに協力しないと、日本に石油が安全に入ってこなくなるかもしれない……」というコメントを聞いたが、テロ特措法に賛成の人が多いのは「他国の人が死んでもいいから、私たちの生活が"安全"であってほしい」という感情の表れのように思える。
 私はその感情を否定する気はないが、それなら「国際貢献のため」などと建前を振り回すのはやめるべきではないのか。
「自分たちは他の人がどうなっても今の生活を続けたいんや、悪いか!」と右翼が言ったなら、街の人たちも少しは考えただろう。
 車の中から拡声器を使って罵声を浴びせるだけでは、"脅し"以外の何の意味も持たない。それでも彼らがそれを続けるのは、今のこの国では"脅し"が有効だからなのだろう。自分だって入試を楯にとって、子どもを"脅し"続けているのだ。

 テロ新法がどうなるかわからないが、これ以上アメリカの戦争につきあい続けるのが、本当に日本の安全のためになるのか、むしろ日本が狙われるだけの結果になるのではないか、考えて議論してもいいのではないか。(2007/10/24)

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