映画とサッカーとうどん

 日曜日に久しぶりに妻とお出かけ。お昼前に出て博多駅からバスに乗って志免町に向かった。
 福岡空港の横を通って20分ほど走り、志免町公民館へ。1日通しの人権集会で午前中は湯浅誠さんの講演があったのだがパスして、午後の映画だけ行くことにした。

 日本の青空U いのちの山河という2時間少しの映画を見た。
 終戦後に岩手の無医村で村長になり、医療改革に取り組み、全国で初めて乳幼児と老人医療の無料化を強行し、年間乳幼児死亡ゼロという記録をつくった深沢晟雄氏の物語。

 マイミクしっぽさん風に★★★★☆

 最初はセリフがえらくかたくて大丈夫かいなと思ったが、途中から主人公の「熱」に引き込まれ、ガンで亡くなった主人公が村に帰ってくるラストシーンでは2人で泣いていた。

 深沢氏は中国で終戦後人民裁判にかけられ、死刑になりかけたところを救われ帰郷したという。ある意味で「開き直った」ような生き方ができたのかもしれない。
 貧乏な村が全国に先駆けて医療費無料化を実現するというのは、勇気や信念と同時に「かけひき」も必要だったろう。清濁併せ呑むというやつだが、これは政治家に必須の才能ではないか。
 自民党が腐敗したのも、民主党がどっちつかずでフラフラしているのも、共産党が勝てないのも、立場や思想の違いはあれ、また個人としては優秀な人材を持っていても、政党全体としては「清濁のどちらかしか呑めない」からではないか、と思った。
 現実を変えるためには、理想を持ち続けながらも、理想と現実との接点を模索し、時にはどこかで妥協しながらでも変化をつくり出さなければならないのだ。それはおそらく政治だけではなく、オトナとして働く者すべてが知っておかなければならない、学校では教えてくれない事実だろう。


 映画を見終わって、博多の森公園まで歩いた。
 ここも一度来たかった場所なのだが、やたらと坂が多くて、山道に手こずった。最近ひざが痛いという妻には悪かったかなと思いながら、30分あまり歩いてレベルファイブスタジアムまでたどりついた。
 この日はJ2の最終日で、アビスパと三戸ホーリーホックとの試合が始まったところだった。応援団の歓声や太鼓の音は外からもよく聞こえた。

 以前うちにアビスパの人が来て「割引しますからチケットを買ってください」と頼んできたことがあった。
 営業も大変だなあと思いながら、私は
 「こうやって一軒一軒回るあなたたちの方が、選手より一生懸命なんじゃないかって思えます。選手がここに直接来て頼んでくれたら買ってもいいですけど。それくらいの気持ちでプレーしてほしいです」
 などと言って帰ってもらった。後で考えると相当きつい言い方だったが、特にファンでもない人間を呼び込もうとするなら、今のようなプレーぶりではムリではないかと今でも思う。やっぱりきつすぎるだろうか。


 スタジアムの横を通って山を下り、空港のそばにある「牧のうどん」にたどり着いた。ここが最後の目的地。
 福岡のうどんは「ウエスト」が好きなのだが、この店でも一度食べてみたいと思っていた。麺食いの妻は私以上に期待していたようで、メニューを見て迷うこと数分、私は肉ゴボウうどんを、妻はみそゴボウうどんをいただいた。
ウエストはどちらかというと店も味も洗練されている感じだが、ここはかなり濃い出汁に太くて柔らかい麺(スープを吸わせるためか)で、田舎風だった。店の人も近所のおばちゃんたちが集まってやっている感じで、帰りがけに出汁昆布の残りを「持っていきなさい」といって無料でいただいた。かなりボリュームがあり、値段はウエストとほとんど変わらないがお腹いっぱいになった。妻も私も大満足で、「今度は自転車で来ようか」などと言いながら店を出た。

 福岡は本当に食べものがおいしくて、特に博多駅の近くに住んでいると食べる店が無限にあって全く困らない。ありがたいことだ。これだけ住みやすい土地もなかなかないだろう。それでも私が心から福岡を好きになれないのは○○のせいなのだけれど、やっぱりこっちが頑固なのかな。

 最後は福岡空港のターミナルまでゆっくり歩き、ここも初めてだったのでターミナルビルを一通り歩いてコーヒーを飲み、地下鉄で帰宅。
 こんなデートコースは誰も行かないだろうが、最近は2人とも勉強が忙しく余裕がなかったので、いい気分転換になった。
 さてさてあと2ヶ月、今年も受験生と最後までつきあいましょうか……(2009/12/1)

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