感謝できない心
(mixiの日記より)
大学入試はまだ後期試験が残っているが、自分の仕事はほぼ終わった。
12月からセンターと2次試験の対策で、数学と物理と化学の予習に追われた。
センター対策は3年目なのでさすがに慣れてきて、昨年までよりうまく教えられたが、2次対策は大変だった。6週間ほど受験生並みに勉強し、4つの大学の過去問のべ30年分を解いた。一度解いた問題でも1週間たつと忘れてしまうので、生徒が同じ質問を2回するとパニックになることもあった。昔だったら化学あたりはアドリブで教えていたのが、今は怖くなって全部予習するようになったので、手間はかかるが力はかえってついたかもしれない。
1日置きに徹夜が続き、サイクルがメチャクチャになって半分不眠症になったが、薬を飲まずにやり通そうと思って、とにかく最後までもたせられた。通信も半分意地で毎週出し続けた。
一昨年家庭教師で教えた子は九州工業大を2回受けて2回落とされ、昨年家庭教師で教えた子はセンターが届かず九州工業大を受けるのを諦めた。
しかし今年塾で教えた子(高校の偏差値は3人の中で一番低い)は、センターで7割越えしてA判定をとり、2次の数学は最後まで危なかったがとうとう九州工業大に合格した。本人には全く関係ないのだが、私は3年ごしのリベンジがかなったような気がしてうれしかった。
秋まで家庭教師で教えていた女の子は第2志望に合格し、浪人してもう一度第1志望に挑戦するかどうか迷っていたが、結局大学にいくことになった。彼女が教師になる道は相変わらず険しいが、諦めなければ可能性がなくなることはないので、そしてあきらめが悪いことだけが(今のところ)彼女の取り柄なので、目標がかなうことを祈りたい。
採用試験の内容を知りたいというので、来週博多駅の本屋と東急ハンズを案内することにした。第1志望に落ちてグシャグシャに泣いていた彼女が、失敗を糧にして素敵な顔になれることを信じたい。
塾の生徒の戦績は全体としてはまずまずなのだが、こちらから見ていると生徒のやる気がもうひとつ感じられず、イライラすることが多かった。
中学生だと、内心はとにかくうわべはほぼ全員一生懸命やるので、高校生の引っぱり方がまだわかっていないのか、そもそも高校生を引っぱろうという考え方自体がまちがっているのか、よくわからない。
高校で補習やら宿題やらが多すぎて、自分で必要なことを判断してやっていく余裕がないように見える。学校の授業をちゃんと消化できていないのに、学校の補習をやたらと受けて塾をサボり、結局センターで惨敗する子もいた。学校を信頼しているというより「意志や状況と関係なく学校の言うことを聞くのが当たり前」という思考停止になっているのが気になる。
全力投球せず、こちらが檄を飛ばしてもまるで通じず、成績が悪くてもそれを"運命"のように受け止めている(ように見える)子を見ていると、やはり「塾なんかやめたら?」と言いたくなる。実際今年は2人やめさせた。
こういうときに我慢できないのは、やっぱり病気のせいなのかなという気がしている。仕事をやめるのは正解だと思う。
自腹で問題集を買ったり(今年1年で本棚1つ分、おそらく十数万使った)、切り貼りして予想問題をつくったり、いるかどうかわからないところまで予習をしても、生徒から全く感謝されないと、どうしても疲れてしまう。
本当に仕事として割り切ってやっている人は、おそらくそういう感情と無縁でいられるのだろうが、私にとっては教えることは半分は仕事ではないので、「気持ちの見返り」がないとエネルギーが続かない。
私が鈍感で、生徒が感謝しているのに気がつかないというのもあるだろう。ありがとうと言われても本気に聞こえないというおかしな感じ方をしてしまうときもある。
しかし(いつものオチなのだけれど)、自分が一生懸命やっても相手から感謝されないというのは、義母が私に対して一生懸命やっていたのに、私がどうしてもそれを肯定的に受け取れない、ということと同じなのではないかと思える。
義母が私を見ないで私の世話をしていたように、私も私の思いだけで生徒に接し、本当に生徒が必要としているケアを結果としてサボってしまっているのではないか。
もちろん努力不足といえばそれまでなのだが、もしそれが私の病気から来る本質的な欠陥だとすれば、どうしても仕事を中断して、義母(の記憶)と向きあい対決するしかないように思う。
福岡に来て5年半、完全に仕事を休んだことはなかったが、もう腹をくくって治療するしかあるまい。生徒から離れることにはまだ現実感がないが(しんどくなるに決まっている)、それも私にとって必要な作業であることはわかっている。
……残った1・2年生のために、あと3週間の土日は全部つぶして面倒を見るつもり。もう「感謝されなくても」大丈夫だと思う。自分は自分のできることをするだけだ。(2011/3/11)
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