歌声の届かない場所で

  夜の街を駆ける 爆音のように
  まっすぐな命が 目の前で消えていった

  すくんだ腕を 振り上げるために
  ピアノを叩き壊し 旅に出るときなのに

  歌声の届かない場所で 君はひとり立ち止まり
  歌声の届かない場所で 君は何を見ている

  からめた指を 振り解くように
  君は振り向かないで この街を出て行った

  麻薬のような 慰みの歌は
  もう聞きたくないと 泣きながら呟いていたね

  歌声の届かない場所で 君はひとり立ち止まり
  歌声の届かない場所で 君は誰の名を呼ぶ

  去り行く君の 乾いた心に
  俺は どんな歌を贈ればいいのだろう

  投げつけられることを 拒み続けた
  ひとりぼっちの魂のために

  歌声の届かない場所で 君はひとり立ち止まり
  歌声の届かない場所で 君は誰の名を呼ぶ
  歌声の届かない場所で 君はひとり立ち止まり
  歌声の届かない場所で 君は何を見ている

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