大阪滅亡の日

  アスファルトに囲まれたドブ川で泡が消えなくなる朝
  悲劇は音も立てずに街を訪れる
  蛇口から出る水が泡立ち濁り出す
  耐え難い臭いが街中に流れ出て
  浄水場に際限なく活性炭が投げ込まれても
  もうこの水は人を支えられない
  自業自得と誰が言うのか 愛しの大阪の街

  空から落ちる雨には放射能が刻まれる
  痛めつけられるばかりの水たちの旅
  ヨシ原の消える琵琶湖では赤潮があふれだし
  京都からの下水が川を黒く塗りつぶす
  今まで生きてこられたのが不思議なくらいだ
  もて遊ばれ続けた自然の報復
  自業自得と誰が言うのか 愛しの大阪の街

  ミネラルウォ−タ−で暮らせるのはとびきりの金持ちだけ
  焼鳥屋も喫茶店も銭湯もおしまいさ
  手遅れになってから慌てるのが役人の仕事
  糸が切れたように街が崩れだしても
  予測も警告もしなかったものが責められない
  他人顔で語られるぼくらの悲劇
  自業自得と誰が言うのか 愛しの大阪の街
  自業自得と誰が言うのか 愛しの大阪の街
  自業自得と誰が言うのか 愛しの大阪の街


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