天皇陛下に送る歌

  その日の午後 ザラザラと降り出した雨は
  水に飢えた南の土地を潤した
  ラジオとテレビと新聞が狂った中で
  深夜の喫茶店は若者があふれる
  さよなら 君はこの国の弱さの象徴

  最後まであやまらなかったね 苦しめた人たちに
  歪んだ音で鳴る 君が代と
  敬うふりをした臣下に操られたまま
  何も変わらなかったね 心の中も
  さよなら 君は何も知らないピエロの顛末

  決勝戦が中止になった高校生の涙だけが
  妙に焼き付くように心に残った
  がんばった人は こんなにたくさんいるじゃないか
  あなたを讃える理由を 見つけられないよ
  さよなら 君は最後まで人騒がせ ただそれだけ

  偉ぶる人がいるから 蔑まれる人もいる
  後ろ指を指される気持ちなんて わかるまい
  叩き壊すものを見つけ出せずに
  罪だけをしょって どこへ行くというの
  さよなら 君のふてぶてしさを忘れない

  音楽の流れない 日曜日の裏通り
  テレビのない1日もいいものだけど
  許してはいけない これからのために
  同じことを繰り返しそうな 今だからこそ
  さよなら 君はちっぽけなワキ役
  さよなら 君はちっぽけな悪役
  さよなら


詩の世界 一覧に戻る

最初に戻る

inserted by FC2 system