白鳥の歌なんか聞こえない

  今夜のうちに最後の手紙を書いて
  あなたの知らないところへ行きたかった
  ポスタ−には痩せた子どもたちが写ってる
  同じくらい痩せこけた心には救いもない

  今はもがき続ける術しか知らない
  甘ったるいあの日のロマンスだけが
  せめてもの慰みと言うなら
  百年たっても聞こえない Swan Song

  無邪気なはずだった笑顔は
  今は俺の前の子どもたちのもの
  夢見ることを伝えられなくて
  悔しさが体中を駆け抜けるけど

  答を探して夜をさまよい
  酒と薬で明日を忘れても
  作り笑いが凍りつくまで
  やさしさだけは忘れたくない

  初めて見せたあなたの涙が
  自分の弱さを教えてくれた
  大人になることがこんなに苦しいなんて
  今まで少しもわかっちゃいない だから

  血塗れの両手にいつか気づいて
  走り出す瞬間をきっと見つけるから
  どんなに心が醜くなっても
  口にはしない 諦めの Swan Song

  思わないまま叫んだ言葉は
  あなたに届かずに空へ消えていく
  寂しさだけしか歌えないままで
  離れたくなんかない だから だから

  神様のくれた翼は捨てない
  あなたの思いを無駄にはしない
  どんなに心が醜くなっても
  口にはしない諦めの Swan Song


詩の世界 一覧に戻る

最初に戻る

inserted by FC2 system