望郷

  生まれ育ったその街が ふるさとじゃないと
  熱くふるえる胸を抱いたとき 初めて気づいた
  愛しさを 知らないうちに刻んでくれる
  ただ一つのやさしさだけが 帰る場所なのだと

  もう戻りたいとは思わない
  もう戻りたいとは思わない
  ただ 風の中を流れてる 蒼い影が見えない

  帰りつく家に呼ばれながら 旅する者と
  帰りつく家を探しながら さまよう者は
  どんなに触れ合っても 言葉が違う
  ただ孤独を隠すために ひた走るだけさ

  もう戻りたいとは思わない
  もう戻りたいとは思わない
  ただ 風の中を流れてる 蒼い影が

  もう戻りたいとは思わない
  もう戻りたいとは思わない
  ただ 風の中をあふれてる 蒼い影が見えない


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