青い糸

  たくさんの嘘がばれないうちに
  俺はこの街をひとり出ていく
  これ以上嘘をつきたくなくて
  彼女はこの場所を出ていった
  今 残された君の声が聞けなくて
  少し悲しいけれど それも仕方ない

  思い出は加速して遠ざかっていく
  写真の中の景色もかすんでいく
  君に巡り会えたこと 傷つけてしまったこと
  心の傷跡になって残るだけ
  明日 もう一度君の声が聞きたくて
  夜空の向こう側へ思いを飛ばしたい

  君が君の道を歩いていけば
  彼女が彼女の道を歩いていけば
  俺が俺の道を歩いていけば
  きっとまたいつか ここで会えるね

  喜びも悲しみも年に関わりなく
  俺たちの上に降り積もっていく
  少しずつ涙を忘れていく大人には
  どうしてもなりたくはなかったのに
  今は 君の一番寂しい顔だけを
  心の底に覚えておくから

  それでも寂しさが押し寄せるときは
  君と彼女と俺を包む空を見る
  同じ思いを持つ人に 青い糸が
  空に向かって伸びてつながっている
  信じてる 俺たちはいつも同じ空を
  悔しさをこらえながら 見ているのだから

  君が君の道を歩いていけば
  彼女が彼女の道を歩いていけば
  俺が俺の道を歩いていけば
  きっとまたいつか ここで会えるね

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