私のためのあなたのための私

 お願いだから仕事をください
 あなたにしてあげられることを 何でもください
 それとなく恩着せてあげるから
 ご飯を作るのも 車で送っていくのも
 何にも苦しくないの しんどいから安心できるの
   あなたの夢があるから生きていられるの
   本当はあなたのことなんかどうでもいいの
   あなたはヒトの形をしたツエ 決して言えないけれど

 会社の中は居心地がいいのです
 捨てられたくないから身を削るのです
 外から見ればただの仕事ゴッコだけど
 行きたくない接待も 家に帰れない夜も
 人生の証明書になるから 耐えられるのです
   形のないあなたは私の中にいて
   不安を見ないですむように命令してくれる
   誰が何と言おうと あなたが一番大切なのです

 私ひとりの私なんて我慢できない
 理由のないハダカの自分は寒すぎる
 あなたと二人で泣けたら死んでもいい
 グチをこぽしなさいいつまでも甘えなさい
 しがみつき合っていれば 転がり落ちても平気なの
   どうしてこんなになったか わからないけれど
   本当は何にもない私を抱いてほしかった
   中身のない自分だからあなたにとりつくのです


詩の世界 一覧に戻る

最初に戻る

inserted by FC2 system