メリークリスマスって言わないで

  となりで誰かが泣いていたなら
  心から笑えはしないだろうに
  離れているだけで 誰かの悲しみを
  忘れて幸せになれるのかな

  雪も降らないうちに すぐとなりの街で
  道ばたのおじさんが死んでいく
  壁ひとつ隔てた凍った家の中で
  子どもが 笑えもせず傷ついていく
  あの子を助けられないのなら
  せめて悲しみを分かち合って

  本当に誰かを愛したいのなら
  目の前の現実から逃げないで
  勇気を出して 誰かに思いを伝えて
  ありふれた言葉じゃなく 心をかきむしって

  遠い国の油をすすって生きている
  ぼくらはいつまで許されるのか
  ミンシュテキ人殺しをやとって暮らしてる
  ぼくらは殺されないでいいのだろうか

  人殺しに余計な名前をつけないで
  テロリストも軍隊も同じ仕事だ
  殺すための理屈や言い訳をさがしながら
  本気で自分を癒そうとしてるの?
  生きるためにしかたないと言うなら
  せめてMerry Christmasなんて言わないで

  誰が何をしたのか 目をそらさないで
  汚されてゆく自分の手を見つめて
  侵し続けるこの国で何ができるのか
  めまいを感じながら考え続けるんだ

  本当に誰かを愛したいのなら
  傷つけてる現実から逃げないで
  涙を流す前に できることを探して
  ありふれた言葉じゃなく 心をかきむしって
*さだまさしさんの「はるかなるクリスマス」を聞いて書いたものです 詳しくはこちら

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