戦争とテロについてのやりとり
 憲法MLに投稿した意見を転載します。(青字は議論の相手)



 テロリストには徹底的に戦う、という意見がよく見られますが、テロリズムと戦うために「人殺し」が有効だとは思えません。テロリストを殺すことはできるかもしれませんが、人殺しの思想を人殺しで撲滅することはできないでしょう。
 私から見れば今回の戦争は「人殺しを肯定する者同士の戦い」であり、しかも片方(アメリカ軍)は明確な侵略者です。どんなに「屈する」ように見えても、暴力以外の方法でしか、テロリズムをなくすことはできないと思います。
 アメリカ政府がそんなことを知らないはずがないのに、戦争を続けているのはむしろアメリカ自身がテロを煽り、人殺しを奨励しているということです。アメリカの歴史の中で何回もあったこのことが、アメリカ自身が戦争に様々な意味で依存していることを示しています。
 本当に痛みの元を取り去るのであれば、むしろアメリカ他の軍備解除がどうしても必要であると考えます。現在のアメリカの被害妄想的人殺し肯定思想が改善されれば、ずいぶん世界は変わると思います。



 武装した集団をとめることができるのは、同じように武装した集団だけです。まず、テロの実行集団をつぶさなければ、一方的に虐殺されるだけです。

 この理屈をひっくり返して言えば、「アメリカの武装集団を止めるのは、武装したテロしかない」ということになります。
 現段階でアメリカ国内で「虐殺」が行われているわけではありません。(911事件ですらアメリカ自身の陰謀であるという説もあります)アメリカが人殺しをやめて軍隊を引き上げても、なおアメリカ国内でテロが起こり「虐殺」されるのでしょうか。○○さん御自身がまるでテロリストであるかのように断言されていますが、本当に「つぶさなければ虐殺されるだけ」なのでしょうか。テロリストの言い分を聞き交渉する余地はないのでしょうか。もし交渉することを「テロに屈する」と呼ぶのであれば、アメリカも(日本も)思考としてテロリストと変わりません。

 まあ、ザルカウイは同胞を虐殺した殺人犯だから、なんとか掃討されてほしいところです(取り逃がしてしまったらしいですが・・・)

 むしろアメリカは戦争を続けるために、わざとザルカウイを逃がしたのだ、という説もあります(ビンラディンの時と同じ)。

 一つだけ質問させていただきたいのですが、9.11テロの後、アメリカはどうすべきだったと思われますか?

 細かいことは覚えていないのですが、たしかビンラディンをかくまっていたタリバンが「証拠を提示すればビンラディンを引き渡す」と言っていたはずです。その時ブッシュは「我々は交渉をする気はない」と言い、アフガンを攻撃しました。もしここでうまく交渉してビンラディンを捕まえ、裁判にかけることができれば、今のような泥沼にはならなかったかもしれません。それをしなかったのは、もともとビンラディンがCIAやブッシュ自身の息のかかった人間で、彼の発言が公に出れば、アメリカ自身が困るからでしょう。
 上に書いたように、アメリカはテロと戦うためではなく、政策としての戦争をするために、ビンラディンを利用したのだと思います。真珠湾もベトナム戦争も湾岸戦争も、すべて同じパターンです。911事件にしても、結局アメリカ自身は事件の詳細を明らかにしていません。私は今でもブッシュによる「やらせ」ではないかと考えています。



 ただ、アメリカは被害妄想国ではなく、現実的に先制攻撃を食らった被害国でもあるので、それは履き違えのない事も願います

 もう一度書きますが、先制攻撃をしたのが誰か明確な証拠がない段階で、宣戦布告もしていない国を攻撃するのは、それ自身が「先制攻撃」です。
 アメリカは今までに世界中で戦争に介入し、多くの人を殺しています。アメリカの軍事介入の歴史を調べられれば、この状況でアメリカに対する攻撃を「先制攻撃」と断言することさえできないと思います。

 極端な話、テロリストに共感したらそれはテロリストの仲間入りです。テロしてでも主張する、それを肯定する事はレッドゾーンです。

 この論理で言えば、アメリカは明確に「テロ国家」です。
 gooの辞書で「テロリズム」を引くと、「一定の政治目的を実現するために暗殺・暴行などの手段を行使することを認める主義、およびそれに基づく暴力の行使。テロ。」とあります。
 私から見れば、ブッシュ大統領や小泉首相、また○○さんのようなご意見の方は、まちがいなくテロリストです。どうでしょうか。

 また、アメリカの戦闘行為を「人殺し」とされていますが、相手もこちらも殺す気満々で対峙している時、例えどちらか一方の戦力が圧倒的であっても、それは一方だけが人殺しでもう一方は被害者だと色分けするのは無理があります。

 たとえば今回の場合、アメリカ側は「殺す気満々」であり、イラクの人々が「殺す気満々」ばかりでないことも明確です。どうも○○さんは、アメリカがテロ国家であること、ご自分がテロを支持していることを説明されているように見えます。

 さらに国連は自分達にテロによる被害が出たら一目散に撤退して、懸念ばかり呈しています。これが実行力のある国際調停機関のする行為とその権限が通用する領域なのだとすれば、かなりお粗末です。

 私はなぜ国連がアメリカその他の国に制裁をしないのか、不思議に思っています。今回の事態は明確にアメリカの虐殺行為です。これを非難できない国連には、たしかに問題があると思います。
 私たちにさしあたりできるのは、アメリカのテロを支持しているテロ支援者、現日本政府・小泉首相をはっきり「テロリスト」と定義することだと思います。

 そもそもなんでアメリカは戦争がしたいのでしょうか。

 私は当事者でないので正確な意図はわかりませんが、アメリカはそもそも戦争産業を柱のひとつとして発展してきた国です。アメリカ政府の重要人物と軍事産業は、建国当初から密接なつながりを持っています。最近ではチェイニーなどが有名ですが、共和党に限らず多くの政府の要人が軍事産業やそれにつながるエネルギー産業の重役出身であり、逆に政府関係者がそのような産業に「天下り」することも多々あります。
 アメリカや日本はまぎれもなく資本主義ですから、戦争をしなければ軍事産業は生き残れませんし、そのために戦争を起こしたい人がいるのはむしろ当然です。
 資本主義は自由や民主主義や人間の安全より、金儲けを優先させる場面をつくります。(現在の社会主義も、民主主義や人間の安全より「思想」を優先させていると思います) しかし「金儲け優先」をおおっぴらには言えませんから、「大東亜共栄圏」とか「自由と民主主義のためのたたかい」とかいう建前をつくるのだと思います。
 広瀬隆あたりの本を読めば、アメリカがいかに「人殺し産業」に支えられて発展してきたか、いやというほど書いてあります。

 やらせにしては、911の事件は被害が大きすぎますね。やらせ論は、どこかの国のプロパガンダのようにも聞こえます。あの被害はすごいものです。もし、本当にブッシュのやらせなら、まさにブッシュは鬼畜以下です。

 911以降アメリカの軍事行動で亡くなった人は、911で亡くなった人の数倍に上ります。(アメリカ軍の犠牲者も含めていいと思います) 戦争をしたい人の感覚からすれば、あの程度の犠牲は「計算の上」でしょう。911の被害ばかりを言い立てることの方が、私にはプロパガンダに思えます。(日本やアメリカで、アメリカ軍の人殺し現場をどれくらい報道しているでしょう?)
 おっしゃるようにブッシュは鬼畜以下だと思いますが、アメリカの本質は、先に書いたように政府ではなく「人殺し産業」ですから、人を殺すこと自体にはそれほど抵抗がないと思います。(私が抵抗がないわけではありませんよ)

 戦争は誰だって嫌ですが、日本がその恩恵を受けているというのも確かな現実です。冷戦時代がまさにそうでした。

 戦争による軍事需要をさしておられるのであれば、その通りだと思います。このあたりの総括をきちんとしておく必要もあるでしょう。

 そうはいっても、将来的には戦争以外の方法でテロを無くす方策を探るべきだと私も思います。その良いヒントとなりそうなのが、今イラクに派遣されている自衛隊ではないかと思います。イラク復興の為に一生懸命尽力している彼らの姿を見て、これまであまり直接的な国際貢献をしていないと思われてきた日本のイメージが良い方向へ変わってきています。

 アメリカのテロを迷いなく支持し続けておいて、その一方でイラクの復興に努力する、などということが、本当にできるのでしょうか。
 自衛隊は外から見れば軍隊でしかありませんし、本質的にも軍隊としての訓練を中心に受けてきている人々です。アメリカの人殺しを支持している「軍隊」が人道支援をすること自体、普通に考えれば矛盾しているか、ウソです。
 本気でイラクの支援をするのであれば、アメリカのテロ行為をとめるための行動を考えるべきです。むしろアメリカ軍と対決するのであれば、イラク人の支持を得られるでしょう。

 現地での評価も良好で、ファルージャ攻防戦が勃発している中、自衛隊の イラク撤退反対 のデモが催されているほどです。

 これは知らないのですが、報道のソースを教えていただけないでしょうか。(まさか自衛隊本体の報道では……サンケイスポーツですら「撤退要求デモ」が出ているのに……)

 少し前になりますが、イラクで捕虜になった渡辺さんの講演を聴きにいったことがあります。自衛隊のことについても少しふれられています。記録がありますのでよろしければお読みください。

 テロなんて所詮、民衆の支持がなければ犯罪行為以外の何者でもありません。

 支持があっても犯罪行為だと思いますが、アメリカ人がブッシュ政権のテロを選挙で容認してしまったのは、ある意味で言えば「アメリカ全体がテロリストと化した」ということです。
 私はこれは、アメリカ人の心理的性質(戦争を肯定する心理)からきているのではないか、という気がします。もしそうであるならば、むしろアメリカという国がなくなることしか解決の方法がないようにも思います。

 今回の自衛隊イラク派遣は軍国化の兆候と見るべきではなく、拡大と人殺し以外の方法で人殺しを無くす新たな試みとして捉えてみるのも興味深いと思います

 私が一番恐れているのは、報道がほとんど機能しない現在、もし仮に自衛隊がイラク人を攻撃して殺しても情報を隠し通せる、ということです。現在までに自衛隊がイラク人に危害を与えていない証拠はありません。
 軍隊は本質的に人殺しの組織です。そして正当化できない人殺しは絶対に自ら報道しません。
 もし新潟地震の救援に「武装した北朝鮮軍」が来たら、新潟の人々、また拉致被害者の方はどう考えられるのでしょうか。自衛隊はこれと同じことをしていると思います。



 「アメリカこそテロリスト」という考え方が根本にあるようで、そこは議論の余地はなさそうですね。これは捉え方の違いなので否定は出来ません。しかし、主に反米圏 例えばアラブ諸国で通用する考えなので、私としてはそれに利なしと考えるだけです。

 私が問題にしたいのは、アメリカ軍とイラク武装集団の両方が人殺しを肯定し荷担している、ということです。テロリストと呼ぶかどうかは大きな問題ではありません。アメリカが人殺しを肯定し実践している事実に対して、○○さんが「そういう考え方には利がない」と思われるのであれば、要するに○○さんが人殺し肯定論者に対して利を唱えていると言うことです。アメリカがテロを行っているのは、考え方ではなく事実です。

 正確に言えば、「アメリカのテロがイラクのテロを引き起こした」ということだと思います。これはテロリズムの定義から、考え方ではなく事実です。この事実を認めることが「利なし」であるのなら、まさしく○○さんがテロリズムを支持しているということです。
 アメリカ人が「自らの国がテロを行っている」と考えないのは、私から見ると確かに不思議ですが、戦前戦中の日本人で「自らの国がテロを行っている」と考えたり主張した人が逮捕されたり虐殺された歴史を考えると、現在のアメリカでもそのような思想に対する弾圧が行われ、マスコミの報道管制がかかっている可能性があると思います。
 実際「愛国者法」制定前後からアメリカの思想統制はかなり激しくなっているようです。何か情報があればお教えください。

 そこの認識にはまた様々ありますので一概には言えません。ただ、「虐殺」とか「アメリカこそテロリスト」というフレーズは魅力的ですが、国際連合にその議題を持ち込んでも相手にされない事は理解してください。現に相手にされていないですから。(あのイスラエルでさえ。)

 これは国連がアメリカのテロに対して無力であるという現状を示しているのだと思います。そのことは理解しているつもりですが、だからといってアメリカの人殺しが許されるものではないでしょう。

 資本主義は民主主義と一蓮托生の物です。儲け主義が資本主義だというのであれば、古代から資本主義がある事になる。でも、そうでない事は、説明するまでもありませんね。

 私は「儲け主義が資本主義だ」とは書いていません。資本主義とは「儲け方の形」を定義したもので、資本主義=儲け主義ではありません。しかし資本主義が儲けを必要とすることは事実で、民主主義よりも儲けを優先させてきた歴史も事実です。

 そして軍事産業が発達するのは、民主主義国家としては、何ら変な事ではない。自衛権を前提とするからこそ、アメリカ人は未だに銃を所持して生きているわけです。

 個人の銃所有と、外国で人殺しをする軍隊は違います。(銃所有を認める発想にも、アメリカ人の被害妄想があると思いますが)アメリカの軍隊は自衛権だけで行動しているわけではありません。
 民主主義をどう定義するかの問題がありますが、私は「アメリカは民主主義ではないのではないか」と考えています。国内では民主主義でやっているのかもしれませんが、外国に対する態度は全く民主的ではありません。
 これほど大きな矛盾に気がつかないのは、前に書いたようにアメリカ人の被害妄想癖なのか、または実はアメリカが実体として民主主義になっていないのではないかという気がします。(日本でも十分民主主義が根付いているとは思えません)

 そういう必要性から産業が生まれる。資本主義は民主主義を殺しはしません。民主主義を殺すのは、民主主義のみ。

 資本主義が民主主義を殺すのではなくて、現代の資本主義が生き残るために民主主義に形の上で乗っかっているという方が正しいと思います。

 あと、一言言わせてもらえれば、大東亜共栄圏は、儲けとは何らつながりません。植民地経営だけですら日本は赤字でした。それを未開地にさらに広げて他国の独立に手を貸したのは、ひとえに政治的な連帯と資源の確保という それだけの理由でしか無かったのです。日本に儲け主義の発想など、はなっから無かったのです。

 ずいぶん「自虐史観」に洗脳されておられるようですが、儲けたのは日本政府ではなく日本の資本(家)です。だから資本主義なのです。
 このような儲けの発想にふれるのはタブーになっているのかもしれませんが、植民地経営や戦争というのは資本にとって最大の儲けの場です。そのことを隠す建前として「大東亜共栄圏」という言葉がつくられたのです。因みに「資源の確保」も突き詰めれば儲けるためのものでしかありません。

 アメリカ軍と対決とは、つまりアメリカと正面きって交戦するということでしょうか?それだと思い切り憲法9条に抵触してしまいます。

 これは書き方が悪かったかもしれません。申し訳ありません。アメリカ軍の攻撃からイラク人を守る行動をとる、という意味です。イラク人の避難の援助をする、という方法もあるでしょう。アメリカ軍に対する支援を拒否するという方法もあるでしょう。

 サンスポの自衛隊撤退要求のデモのニュースの中では、自衛隊駐留の継続を求めるデモがあったことにも触れられています。

 これは知りませんでした。ありがとうございます。
 実際自衛隊によって利益を得ている人もいることは事実でしょう。私はそれでも撤退するべきだと思います。少なくとも「アメリカの支援」は断固として拒否し、アメリカのテロを非難した上で武装解除しなければ、活動するべきではないでしょう。

 仰る通りですね。ということは、今イラクで暴れているテロリストも犯罪者なのだから攻撃されても仕方がない、ということにもなります。(ここで、警察に捕まえさせればいいという意見は妥当ではありません。それが出来ないから軍隊が出動しているのですし)

 ですから、アメリカテロ軍も攻撃されても仕方がない(イラクの警察には頼れない)、ということになります。
 何回も書きますが、○○さんのご意見はすべて結論として「テロを支持している」ようにしか私には読めません。テロに対決するのに軍隊しか方法がない、というのは、ハリウッドの発想です。このメールのタイトルに戻りますが、人殺しによって人殺しの思想が解決されるとは思えない、そんな例があるのか、というのが私の言い分です。

 それでは、自衛隊がイラク人に危害を与えた証拠をだして下さい。根拠のない主張など「妄想」にすぎません。

 少なくとも自衛隊は、イラク人に危害を与えているアメリカ軍の支援をしています。間接的に「危害を与えている」ことは明白です。
 私のHPで出していますが、渡辺さんによれば、自衛隊の駐屯地の元々の地主が「自衛隊との契約が完了していない(=勝手に土地を奪った)」と言っています。どこまでが本当かわかりませんが、これが本当なら「危害」になります。

 私は「現在までに危害を加えている証拠がある」と主張しているわけではありません。
 何度でも書きますが、日本はアメリカのテロを支持している「テロ支援国家」です。そして自衛隊は本質的には軍隊としての訓練を受け続けている組織です。イラクで人殺しを続けている国の支持を続けている国の軍隊がイラクにいること自体が、イラク人にとってきわめて危険だと思います。
 遠くない将来、仮にサマワで戦闘のようなものが起こったとき、自衛隊が自らを守るために、敵(に見える人)を攻撃しないという保証はありません。アメリカ軍はよく「誤射」という言葉を使いますが、誤射だろうがなんだろうが、軍隊によって殺されることに変わりありません。サマワの人から見れば、いつ「誤射」するかわからない軍隊が近くにいること自体が、「危害を加えられている」とも言えます。

 はるばるイラクくんだりまで派遣されて、マスコミや市民団体から不当な非難を受けながらも、一生懸命現地で頑張っている彼らに対し、失礼な物言いにも聞こえます。  そもそも自衛隊派遣に不満があるというのであれば、それを決定した政府を非難するべきです。自衛隊は政府の決定に従って出動しているだけで、自衛隊のほうへ矛先を向けるのは的外れではないかと。

 私は自衛官一人一人を非難しているわけではありません。(自ら志願して自衛隊に入っていることに対して非難する余地はありますが)考えようによっては自衛官も被害者だと言えます。
 私が非難しているのはもちろん政府であり、その政府の方針を支持している「テロ支援者」です。○○さんもそうなのでしょうか。
 もし自衛隊やサマワのイラク人に被害が出たとき、政府はどう責任をとるのでしょうか。政府の方針を支持している人はどう責任をとるのでしょうか。「名誉の戦死」などと言ってごまかすのは、自己責任逃れだと思います。○○さんはどうされますか。責任をとれますか。私にはとてもそんな責任は負えません。だから反対しているのです。
(2004/11/22)


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