書くこと・考えること


 みんなの学校に「学級通信」を出す先生はいますか。
 山本は昔学校の教師をしていましたが、そのときにクラス通信と教科通信を出していました。その後大阪の塾で働いていたときも、教科通信という形で文章をつくって生徒に配っていました。
 福岡に来てからは機会がなかったのですが、久しぶりにこういう形で文章を作ってみようと思います。6人だけのために書くのも妙な感じですが、読む方からすれば人数は関係ないので、がんばってみます。
 家庭教師の時間は長くはないので、基本的に雑談するヒマはありません。ですから話す代わりにこういう形で、みんなにとって役に立ちそうなこと・面白いと思えることを文章で伝えていけたらいいなと思います。まあ無理に読まなくてもいいので、その気があったらヒマなときに好きなところだけ読んでみてください。

 山本はもともと、文章を書くのは得意ではありませんでした。数学や理科を解くのはパズルみたいで面白かったけど、国語は苦手で点数が上がらず苦労していました。
 中2のときに若い女の先生が「先生に『日記』を出してくれたら、お返事を書きます」と言ったので、誘惑に駆られて? 日記を書いて時々先生に出しました。先生のコメントは簡単なものでしたが、誰かに読んでもらうために文章を書くのが少しずつ楽しくなっていきました。
 中3のときには英語の先生が「英語で日記を書いてみないか」と言ったので、和英辞典をひきながら下手くそな英語で日記を書いたりしました。自分の文章を英語にするのはそれなりに楽しくて、それで覚えた単語も結構あります。
 学校の教師になったとき、最初は通信を出すかどうか迷っていましたが、2年目に担任を持ったときに決心して、1年間書き続けました。直接は言いにくいことでも、家で頭を冷やしながらゆっくり書くと伝えやすかったり、通信をきっかけにして子どもとの話が弾んだりすることもありました。そのころから「書くことが楽しい」と本気で思えるようになりました。(過去の通信はホームページに出してあります)

 文章を書くことは、自分の頭の中を整理することです。頭の中がモヤモヤしていると、自分の言いたいことをはっきり文章にすることはできません。
 書いていくうちに、ボンヤリしていた自分の考えがわかりやすくなっていくこともあります(数学や理科で図をかいて考えるのと同じです)。自分が文章を書いているというより、書いている文章が自分を引っ張っていくような感じになることもあります。(マンガ家が『私がストーリーを考えなくても、主人公が勝手に話を作ってくれる』と書いているのを何度か読みましたが、普通の文章でも同じでしょう。これはなかなかすごい感覚ですよ。味わってみてほしいです)
 たくさんの人に読んでもらおうと思えば、自分の考えていることをわかりやすく言葉を選んでいかないといけないので、それだけでとてもいい勉強になります。オトナになってから数学が役に立つとは限りませんが、読みやすい文章を書く力は必ず役に立つと言っていいでしょう。
 本当は数学や理科のような理屈で考える科目も、いい文章を書くために役に立っているのです。わかりやすい・説得力のある文章は必ずきちんとした理屈に沿って書かれているので、数学などの勉強をすることが、文章を書く力にもつながっているのです。  福岡県の公立入試で「記述問題」が多く出るのも、そのような目的があるのだと思います。でも試験で仕方なく文章を書いたり覚えるよりも、本当に言いたいことを自分の言葉で表す方が楽しいですね。メール世代のみんなには、そういう楽しさはよくわかるでしょう。

 人間は言葉だけで何かを人に伝えるわけではありません。同じ言葉でも、表情や声の調子、あるいは話している場面によって、伝わることは変わってくるでしょう。また言葉を出さなくても、顔色だけで何かが伝わることもあるでしょう。そういうことも大切です。
 しかし誰にでもわかるように何かを伝えようとすれば、言葉に頼るしかありません。人間がサルと決定的に違うことの1つは、声帯や舌が発達して複雑な言葉を出せることです(サルはア・ウ・オは言えてもイ・エが言えない)。そのことが多くの仲間に対して難しいことを伝えることを可能にし、やがてサルにはない"文化"ができていったのだと言われています。
 試験に論述が必要ないにしても、文章をたくさん書くことが、考える力をつける=成績を上げることにもなるでしょう。実際難しい大学の試験ほど、答だけでなくそこまでの理屈を文章で書くことが求められます。たとえば東大の入試の解答用紙は『原稿用紙』になっていて、数学や理科の試験でも作文のように途中を説明しないと点がもらえません。賢い人は「わかりやすい文章が書ける人」なのです。
 みんなも誰かに文章を書く機会をつくって、頭の中を整理する練習をするといいかもしれませんよ。ラブレターでもいいけど(?)、できればある意見や考えを理屈立てて説明するような文章がいいのです。もし何か書いたら読みますので、いつでもどうぞ(交換日記も歓迎?)

 1人1人にメッセージ; (2008/11/24)

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