心の治し方いろいろ


 山本は心の病気で、それを治すために大阪から引っ越してきました。もう20年以上医者にかかっているのですが、なかなかよくなりません(何してるんだか)。
 みんなにももしかしたら将来関係があるかもしれないので、山本が今まで経験してきた「心の治し方」について書いてみます。

 (1)お医者さん;精神科・神経科・神経内科・心療内科・メンタルクリニックなど色々あって紛らわしいです。それほどはっきりした区別があるわけではないのですが、 簡単に言うと「気持ちの問題が大きければ精神科か神経科、体の異常なら心療内科か神経内科」ということになりますが、自分がどの病気なのか最初はわからないことも多いので、とりあえず近そうなところに行ってみるのがいいでしょう。
 やることは普通のお医者さんと同じで、診察をして生活の仕方や薬について相談するのですが、話が長くなる場合には別にカウンセリング(後述)をするお医者さんもいます。
 山本は色々なお医者さんに通いましたが、今は薬をもらうためだけに神経科に行っています。
 (2)カウンセリング;お医者さんは長い時間かけてゆっくり話を聞くヒマがないのが普通だし、そもそも話を聞いて患者と相談するだけでは治療とみなされないので、そういう仕事は普通お医者さんとは別の人がやります。それがカウンセラー(心理療法士)で、山本も今は博多駅の近くでカウンセリング(精神分析)を受けています。
 カウンセリングにも色々な流儀があって、やり方を開発した人の名前をとってフロイト派とかユング派とかアドラー派とかあります。だいたい共通しているのは、カウンセラーの考えを押しつけない、本人の話をじっくり聞きながら問題を解決する方向を本人が見つけるのを助ける、というようなことです。カウンセラーと患者(クライアントという)には相性があることもあるので、自分に合ったカウンセラーを探さなければなりません。またカウンセラーはお医者さんではないので医療保険がきかず、お金がかなりかかることが多いです。
 (3)森田療法;日本人にはこだわる人が多いと言われます。「朝は絶対ごはんを食べる」というくらいのこだわりならいいのですが、「私は頭が悪いから数学はできない」というこだわりを持ってしまうと、解けるはずの問題が解けなくなるということが起こります。ひどいと「自分の鼻が見えるのが気になって何も手につかない」という人もいます。「納得するまで勉強する」のようにこだわりがいい方向に出ればよいのですが、悪いこだわりから抜け出せなくなってしまうと、なかなかしんどい状態になります(みんなにもそういう部分があるかもしれません)。
 森田療法とは森田正馬という人が受験勉強をしていた時に考えついた方法で、簡単に言うと「こだわりを消そうとするのでなく、こだわったままでいいから正しく行動する」というものです。予備校でこの考え方で生徒を指導している講師もいるようです。自宅でする方法と入院する方法があるのですが、山本は9年前に京都の病院に3ヶ月入院しました。最初の3日間は誰とも会わずにただ寝ているだけ。次の3日間は病院の中をひたすら見るだけ。次は作業をするのですが、みんなで黙ってひたすらお菓子の箱を折るだけ。きつくはないのですが、どんなに気持ちがしんどくてもそれに関係なくひたすら作業をするというので、時々イライラしたり吐きそうになりました。それでも毎日続けていると、自分の気持ちと行動をある程度切り離して「しんどさに関係なくやるべきことをする」という感覚をつかむことができました。……でも退院してしばらくするとまた元に戻ってしまいました。修行が足りなかったかな?
 (4)内観療法;1週間部屋にこもって朝から晩まで座り、自分の生きてきた時期を区切って「親にしてもらったこと」「親にして返したこと」「親に迷惑をかけたこと」を思い出し、1時間ごとに先生に話します。たとえば「小学校時代の母親との関係は〜」というようにします。やりとりをするのではなく、ただ思い出して聞くだけの作業をずっと続けます。生き方がわからない、生きている意味がわからない、という人がこれをすることが多いようです。会社の研修などでやるところもあります。山本はこれを2回やりましたが、あまりうまくいきませんでした。親との関係を見直したい人にはいいかもしれません。
 (5)ミーティング;同じ悩みを抱えている人たちが集まって話し合うものです。山本はアダルト・チルドレン(教えてあげません。自分で調べなさい)のミーティングに何回か参加しました。言いっぱなし・聞きっぱなしと言って、誰かの言ったことに反論や批判をしない、お互いに話をきちんと聞く、というルールで1人1人が悩みを話し合うものです。アルコール中毒や薬物依存の人のミーティングもあります。これで随分ラクになる人もいますが、山本はどちらかというと言い合いたい人なので、だんだん飽きてやめました。
 (6)座禅;もともと仏教の修行の中から生まれたものです。静かに座って雑念を取り去り、呼吸に集中します。人間は普通に暮らしていると、どうしても色々な考えや情報が頭の中に入ってきてゴチャゴチャになってしまっているので、頭の中を整理するのは病気と関係なくいいことです。要するに治療というより心を鍛えるもので、集中力を上げるために健康な人でもやってみて損はありません(参加したおふたりさん、どうですか?)。
 宗教から生まれた修行には他にも色々あって、瞑想やヨガや、プロ野球選手がやっている護摩行も有名です。このあたりは宗教的な要素はあっても「洗脳」されることはまずないので、機会があればやってみてもいいと思います。

 まあこういう世界には縁がないのが一番いいのですが、心の病気が増えている今、病気や悩みへの色々な取り組み方を知っておいても、損はないと思いますよ。


 1人1人にメッセージ   (2009/2/18)

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