本とどうつきあうか


 本が売れないという話は、みんなはあまり知らないかもしれませんが、深刻です。
 特にここ数年は出版不況で、売れないために昔から続いてきた雑誌がなくなったり、出版社(本を出す会社)や本屋さんがつぶれたりしています。東郷駅前の本屋さんがなくなったのは一昨年ですが、駅前がずいぶん寂しくなった感じがしましたね。
 携帯もインターネットもなかった時代と比べれば、本を読まない人が多くなったのは当然かもしれません。本を買うにしても、今はamazonなどネットで簡単に注文できる(しかも安い古本も調べられる)ので、本屋に行く人が減ったこともあるでしょう。右のグラフでわかるように、インターネットが本格的に普及し始めた1990年代の後半から、雑誌も本(書籍)も売り上げが少しずつ減ってきています。もっともインターネットを長く見ている人ほど読書量が多いというデータもあり、ネットの影響ではないという説もあります。本屋さんはここ15年の間に4軒に1軒の割合でつぶれていて、このままだとあと 45年後には本屋がなくなる(!)ことになります(そんなことはないやろうけど)。
 高校生はどうかというと、山本が高校生だった1970年代は1人1ヶ月平均4.5冊読んでいたのが、2004年には7.7冊になっているので、今の高校生の方がよく本を読んでいることになります。一方で1ヶ月間まったく本を読まない高校生も42%いて、たくさん読む人とまったく読まない人に分かれているように見えます。もっともオトナも似たり寄ったりで、50代ではまったく本を読まない人が過半数になっているというデータもあります。なんでもオトナが見本にならないといけないのにね。
 山本は高校生の時父親から「長い小説を読みなさい」と言われて、学校の行き帰りの電車で『戦争と平和』『チボー家の人々』という長〜〜〜い小説を読みましたが、どんな話だったかほとんど覚えていません。それよりは太宰治の『人間失格』とか、中島みゆきの歌詞を読んだりするのが好きでした。中学生の一時期星新一のSFに凝って、1日2冊くらいのペースで読んだこともありますが、クラブで忙しかったこともあり普段そんなに本を読んでいたわけではありません。
 ところでこの間近所に新しい居酒屋ができたのでもつ鍋を食べに行ったのですが、ウーロン茶を頼むと「お酒は飲まないの?」と言われ、飲めないんですと答えると店のご主人から「もったいないねえ、人生の楽しみを半分捨ててるね」と言われてムッとしました。余計なお世話なのですが、お酒のおいしさをよく知っている人から見れば、もったいないとしか思えないのでしょう。
 同じように、本を読むことの楽しさを知っている人から見れば、本を読まない人は「人生の楽しみを半分捨てている」ように見えるかもしれません。山本がお酒を飲めないのは体質ですが、本は若い頃に親しんでいれば、おそらく誰でも好きになれます。おそらく高校から大学の頃が、本が好きになる最後のチャンスでしょう。山本も大学生の頃に読んだ本(本多勝一、松田道雄など)の中身はけっこうよく覚えていて、それが今の自分の考え方のもとをつくっているのがよくわかります。居酒屋の主人になったようで気持ち悪いですが、みんなにも山本程度には本を好きになってほしいです。国語の力をつけるのに読書が必要だというのもその通りですが、ここではそんなみみっちい話ではなくて「本の世界にはまったら面白いよ〜」ということを言っておきたいです。
 読書が苦手な人は、最初は自分の興味のある本だけ読んでいいのです。この人の書いた本は面白い! と思えたらしめたものです。同じ著者の本をたくさん読んではまりこむのもいいでしょう。書いてあることが全部わからなくても、なんとなく面白いと思えるだけでもかまいません。もともと本の読み方にルールなどないので、自分が面白いと思えるようにやってみればいいのです。とにかく学生のうちに、本を読むのは楽しいんだ!という感覚を一度は味わってくれたらと思います。
 山本は1年前からヘーゲル(哲学者)と大杉栄(アナーキスト)の本を読んでいますが、特にヘーゲルは難しくてさっぱりわかりません。でもそこに書いてあることがなんとなく心に残って、いつか自分の肥やしになってくれるのではないか……と思っています。読み切ったらバンザイだー。

 1人1人にメッセージ;  名前は書きません
  • 当面は1日3時間でいいから、集中して能率よく勉強する習慣を身につけましょう。その日の目標を細かく決めて「ここまでできればOK!」というラインをつくるといいですよ。
  • やる気になってきたようですね。英語の和訳をじっくり考えること、数学で難問にあたった時粘ること、多分この2つがカギになると思います。わからないことはどんどん質問してください。
  • 計画が完全にこなせなくても、毎日少しずつでも机に向かえるようになれば立派な進歩です。わからないところはどんどん印をつけて質問してください。時間をかけないで何回もやるのがコツです。
  • プリントなどを整理することと頭の中を整理することは、つながっているのです。ファイルを増やすとか名前をつけるとか分け方を工夫してみてください。大切なことなんですよ。なんとか……
  • 因数分解は難しい問題もありますが、コツというか方針をしっかり頭に入れておけばできます。中学とは段違いに難しい問題も解けるようになりますよ。「神ワザ」を味わってみてほしいです。
  • 結局あなたの場合、入試でも数UBが必要になりそうです。難しくはないので、まずは学校の内容をしっかりこなせるようにしていきましょう。機会があればそのうち入試問題も解いてみましょう。

(2009/4/21)

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