選挙には意味があるか?


 今月の30日には4年ぶりの衆議院議員選挙があります。ポスターの掲示板やテレビコマーシャルを見ることもあるでしょう。みんなはあと4年すれば全員選挙権を持ちます。まずは選挙について説明してみましょう。
 日本の国会には衆議院と参議院があって、衆議院では自民党と公明党が多数をとり、参議院では民主党などが多数になっています(ねじれ国会)。今回の選挙で民主党が勝って衆議院でも多数になると、民主党が政権をにぎることになります。
 衆議院議員の選挙は小選挙区比例代表並立制という仕組みになっています。小選挙区制とは1人だけ当選する小さな選挙区をたくさんつくって選挙をすることで、日本全体を300に分け、福岡県は11の選挙区に分かれ、宗像市は福津市や古賀市などと合わせて第4選挙区(ここで1人当選する)になっています。
 小選挙区制では1つの政党から1人の候補者しか出ないので同じ党の中の(ムダな?)争いが起こらず、また選挙区が狭いのでお金がかからないと言われています。その反面1人しか当選しないので、それ以外の候補に投票した人の意見が無視される(死票が多い)ことになります。
 比例代表制とは日本全体を11の大きなブロックに分け、その中で投票された票数に応じて政党に当選者を割り当てる方式です。福岡県は九州・沖縄ブロックに入っていて、この中で21人の当選者を投票数に応じて政党に割り振ります。比例代表制は多くの人の意見が反映されやすい反面、個人を選ぶことができない(個人に投票しても政党への投票と見なされる)という欠点があります。
 こういう2つの選挙制度があるのですが、小選挙区300人に対して比例代表は180人なので、小選挙区の結果が大きいと言えます。今の日本では自民党と民主党の議員数が多く、小選挙区ではほとんどどちらかの党が当選することになり、それ以外の政党が議員数を伸ばすのが難しいのです。13年前に小選挙区制になってから、他の政党は議席数をずいぶん減らしました。
 今回「政権選択の選挙」と言われているのは、4年前に大勝ちした自民党の支持率が今は民主党より低く、どちらが多数をとるのかはっきりしないからです。勝った方の党首が総理大臣になり政府をつくるので、この選挙の結果がこれからの日本の政治を左右するとも言えます。
 今回の選挙ではそれぞれの党がマニフェスト(Manifesto、声明・宣言。もともとはイタリア語)を出しています。当選したらこういう政治をしますという"約束"ですが、本当にそれをやってくれるのかどうかわからないし、しなかったら罰があるわけでもありません。高校の授業料をタダにするとか消費税をなくすとか景気のいい文章も見ますが、その分のお金をどこかから出さなければならないので、いいことばかりというわけでもありません。もちろんそれぞれの党で少しずつ政策は違うのですが、「教育政策についてはA党がいいけど、外交政策についてはB党がいい」という人は、両方に投票することができないので、困ってしまうこともあります。
 選挙で実際に投票する人の割合を投票率と言いますが、日本の投票率は明治から少しずつ下がり続けています。ここ数年は60〜70%くらいで、3人に1人は投票していないことになります。特に若い人の投票率は低く、3人に1人しか投票しないこともあります。オーストラリアでは投票しないと罰金をとられる制度があり、そのため投票率が100%に近いのですが、それが本当にいいのかどうかも難しいところです。
 山本は投票をサボったことがありませんが、投票してもその人が当選しなかったり、自分が願うように政治が動いてくれないことが続くと、選挙に行くのがバカバカしく思えることがあります。自分の思うような政策を言ってくれる候補がいなくて投票する気になれない人もいるでしょう。だからといって自分が立候補して議員になろうとするのは大変なお金がかかる(供託金で300万円、他に運動費など数百万)し、大きな政党に属さない普通の人が当選する可能性は非常に低いので、たいてい諦めてしまうことになります。
 日本は一応民主主義の国ですから、政治をつくって動かしていくのは選挙に行くオトナみんなのはずなのに、「私たちが政治を動かしているんだ!」という意識を持っているオトナはとても少ないように見えます。なんだかおかしいですね。
 世の中で、政治に関わらないことはほとんどありません。みんなの使っている教科書の中身も、福岡の高校で朝課外があることも、東郷駅前の店が少なくなっていることも、全部政治と関係があります。山本は、博多駅で段ボールをしいて寝ている人たちや、お金がなくて高校をやめなければならない子どもを見ると、こんなふうに暮らさなければならない人がいることが悲しく腹が立ちますが、それだって山本のようなオトナが支えている政治の責任です。
 みんなにも、今の生活の中で持っている願い、世の中をこうしたい・こうしてほしいという気持ちがあるでしょう。夢には、自分の努力だけでできることと、ひとりではどうにもならないことがあります。ひとりではできないことを諦めずに、同じ思いを持っている人が団体をつくり、署名をしたり集会をしたりデモをすることもあります(山本もデモに行くことがあります)。でもそういう人たちも、何もせずに毎日を政治と関係なく暮らしているつもりの人たちも、実際には同じように政治に関わっていて、世の中を動かしているはずなのです。選挙だけの問題ではないでしょう。
 どうしたら本当に民主主義の世の中になって「自分たちがこの国のあり方を決めているんだ!」と思えるようになるか、今のオトナにもみんなのような若い人たちにも、考えてみてほしいです。(2009/8/19)


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