伝記の勧め


 この通信でみんなが一番見てくれているのは、おそらくこの本文ではなく(……)、最初の「今週の誕生日」コーナーです。
 インターネットで調べて1週間分の『生まれたひとリスト』をつくり、その中から面白そうな人を選び文章をつくるのですが、人を決めるのがけっこう大変です。たとえばこの通信(8月26日〜9月1日生まれ)の場合は、左の3人の他に
 ゲオルク=ヘーゲル(ドイツの哲学者。弁証法を提唱)
 マザー=テレサ(インドで貧しい人に尽くしノーベル平和賞受賞)
 ヨハン=ゲーテ(ドイツの文豪、『英語名言集』参照)
 ジャン=オーギュスト=アングル(フランスの画家)
 イングリッド=バーグマン (スウェーデンの女優)
 ペ=ヨンジュン(韓国の俳優。『ヨン様』)
 アーネスト=ラザフォード(イギリスの物理学者、原子核を発見)
 井上陽水(福岡出身の歌手。日本で初めてアルバム100万枚売った)
 内藤大助(ボクシング・フライ級チャンピオン)
 松本潤(アイドルグループ『嵐』のメンバー)
 野茂英雄(プロ野球投手。日本から大リーグに行き活躍した先駆者)
 新渡戸稲造(明治時代の農学者・教育者。お札にもなった)
 小澤征爾(世界的指揮者。文化勲章も受章)

 ……といったところが出てきます(何人知ってますか?)。自分の知識で書けるか、書くだけの面白い情報が調べられるか、みんなが読みたいと思うか、ひとりひとりについてくわしく考えるのはとても無理なので、山本の好みでかなり強引に絞り込んで人を決めて書くのですが、これが意外に面白く、勉強にもなります。
 山本はそんなに本が好きではありませんでしたが、何冊か伝記を読んで興味をひかれました。一番印象的だったのは小学生の時に読んだマハトマ=ガンジー(インドがイギリスから独立するときに活躍した指導者)の伝記で、『彼は生まれてから死ぬまで一度もウソをつかなかった』というウソのような記述が頭に残っています。そんな人いないよねえ。でもガンジーの"非暴力主義"はその後の山本の考え方のもとになりました。
 "えらい人"の話はえらすぎて参考にならないという声も聞きました。たしかに歴史に名を残すような人はどこかしら図抜けているので、そこだけ見れば普通の人の見本にはならないかもしれません。でも別にみんなが『歴史に名を残すようなえらい人』をめざす必要はありません。そういう人の生き方の中に、みんながこれから自分の生き方を選んでいくときのヒントを見つけられればいいのです。特に思春期のみんなにとって、人生の先輩であるオトナの生き方を知ることは、どんなオトナについてでも勉強になるはずです。
 この通信で言えば、実験をするために税の取り立て人になり、革命で死刑になったラボアジェ(彼自身は税金が高いことをよく思っていなかったとされている)の生き方をみんながどう思うか、みんなだったらどうするか、ということを考えてみてほしいです。また宮沢賢治の『人に尽くすことに目覚め、親と対立しながらお百姓さんのために命を投げ出す』という生き方に感動して、自分も少しでもマネをしてみたいと思えたら、それだけでも素晴らしいことです。
 もちろんこの通信の文章だけで詳しいことなどわかりませんから、興味を持ったらぜひ伝記を読んでみてほしいです。今はネットだけでも色々わかりますが、本気で感動したいなら本がお勧めです。1冊は、ぜひ。(2009/8/26)


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