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 ☆日本の公的財源(税金など)からの教育支出の対国内総生産(GDP)比は、2006年の調査で過去最低の3.3%となった。OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均は4.9%で、 28カ国中最高はアイスランドの7.2%、日本はトルコに次ぎワースト2位。特に大学など高等教育に限ると0.5%(OECD平均は1.0%)で28カ国中最下位。政府の支出全体に占める教育支出の割合は前年と同じ 9.5%でOECD平均の13.3%を大きく下回り、データ比較が可能な27カ国の中では最下位。
 日本の教育費の私費(家庭)負担の割合は33.3%と韓国に次いで2番目に高く、OECD平均15.3%を大きく上回る。高等教育において日本は「授業料が高く、奨学金などの学生支援態勢が比較的整備されていない国々」のグループに分類された。
 "受益者負担"という考え方があります。教育を受けると賢くなって将来その人の得になるので、教育のためのお金は勉強する本人(の保護者)が出すべきだというものです。
 それに対して、子どもは国の将来を支える財産だから、国全体で(税金から)お金を出して子どもの教育を支えようという考え方もあります。日本はどちらかというと受益者負担の方で、特に大学の学費などは外国と比べても非常に高い(ドイツやフランスでは無料)ので、お金に余裕がない家では成績がよくても大学に行けないということが起こります。
 民主党が政権をとり、公立高校の授業料は無料になる可能性がありますが、私立高校は今のところ対象外になっていて、今よりもっと公立と私立の学費の差が大きくなるかもしれません。
 ☆2007年の日本の高校卒業率は93%で、OECD各国平均の82%を大きく上回り、ドイツ、フィンランド、ギリシャに次ぐ4位だった。大学・短大などへの進学率は76%で平均の71%を上回った。4才以下の児童の在学率も平均より高い。15才を対象にした「生徒の学習到達度調査」で、経済・社会的背景に恵まれない生徒が「成績優秀者」に占める割合は34.9%。28カ国中、ポーランドに次いで高い水準だった。
 また日本の先生の授業時間は小、中、高校の各段階で平均時間より短いものの、勤務時間は1960時間とデータがある17カ国中で最も長かった。小学校の学級規模は1クラス28.2人と、平均(21.4人)よりも多く、この傾向をOECDの分析担当者は「日本の教育は1クラス当たりの子どもの数が多いため、教育予算を抑えることができている」としている。
 日本でも高校中退は問題になっていますが、アメリカだと卒業率が50%(2人に1人が中退!)という高校も多く、まだ日本はずいぶん中退が少ない方です。また裕福でなくても成績のいい人の割合も、この調査では(15才では)他の国と比べると高いことになります。東大入学者の家庭の所得は平均より高いというデータもありますが、外国ではもっとすごい差があるのでしょうか。
 日本の先生は授業以外の雑用が非常に多くて、会議やら書類やらクラブやらで追いまくられている人が多いのです。山本も学校にいるときは「授業は全体の3割くらいの力でやれ」と言われました(ひどい)。クラスの人数と先生の雑用を減らすだけでも、学校の先生がもっとみんなのことを考えて工夫できるようになるんじゃないかな……とも思います(あとは先生のやる気次第?)。
 ☆東京大などの研究者グループが13日、地球から約3億光年離れた宇宙空間に、太陽の約80億倍の明るさを放つ超新星を確認したと発表した。超新星の光は理論上、太陽の約30億倍の明るさが平均とされていた。グループは「世界の天体観測史上、最も明るい超新星ではないか」と話している。
 定説の「チャンドラセカール理論」では、恒星が膨張を続ける際、質量が太陽の1.4倍の限界値に達すると爆発するとされているが、今回は明るさから逆算すると、質量が太陽の1.6倍あると考えられた。
 太陽のような恒星は、もともとは宇宙の中のガスが集まってできます。太陽は核融合反応(水素原子が熱を出しながら結合してヘリウム原子になる)を続けますが、バランスが崩れてくるとだんだん大きくなり(あと数十億年すると地球は太陽にのみ込まれる)、やがて爆発して吹き飛んだ後に白色矮星という小さい星が残ります。
 太陽より大きい星だと、核融合反応でヘリウムだけでなく炭素、酸素、鉄などより重い元素まででき、爆発の時には太陽が今までの50億年で出した全部の光のさらに10倍以上の光を出します。これが「超新星」で、遠いのでよくわかりませんが、もしこれだけの光が太陽の位置にあったら……地球は一瞬で"蒸発"しみんなおしまいです。しかし地球にある炭素や鉄などの元素も、もともとはこうした超新星の残骸から来ているはずなので、超新星がなければ地球は水素の固まりだったことになります。みんなの体(基本的に炭素)も超新星のなごり?なのです。面白いよね。
 ☆市販されている中高生用の数学参考書の完全な点訳を、筑波技術大学の長岡英司教授らのグループが完成させた。全部で290巻、約2万2千ページに上る。これまで点字化が難しかったグラフや図も掲載しているのが特徴。数学参考書の完全な点訳は例がないという。近く希望者に無料で提供を始める。視覚障害を乗り越えて進学を目指す中高生の大きな後押しになりそうだ。
 点訳したのは中高生がよく使う「チャート式数学」(数研出版)。中1から高3までの6冊を、長岡教授とボランティア点訳グループ約90人が1年がかりで点訳した。同大は視覚・聴覚障害者のための国立大学で、数学を苦手に入学してくる学生が多いことから、作成を思いついたという。
 厚生労働省によると、18歳未満で視覚障害のある人は全国で約4900人。一般の学校で学ぶ生徒もおり、完全な数学参考書が待たれていた。長岡教授は「大学進学を目指す中高生だけでなく、数学力を高めたい大学生や社会人にも広く活用されることを願っている」と話す。
 点字の本は比べてかさばるし作るのが大変で、普通の本と比べて数が少ないのですが、目が不自由な人にとっては大切なものです。文学書などと比べて参考書などは"後回し"にされることが多かったのでしょう。いいことですね。それにしても……やはりチャートは売れてるなあ。
 たまには新聞やニュースを見るのもいいですよ。面白い記事があったら教えてください。(2009/9/16)


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