数学の面白さ


 日本の子どもは世界の中で見ると、"数学はできるけど好きではない方"に入ります。2007年の調査によれば、日本の中2は40数ヶ国の中で数学の学力は5位ですが、数学がとても楽しいと答えた人はわずか9%で、世界平均(29%)を大きく下回っています。
 みんなが中学や高校で数学を勉強する時間は膨大なものです。この時間がずっと退屈で詰まらないものだとしたら、ちょっとひどい話です。数学の勉強は、みんなにとってどんなイメージでしょうか。
 言葉や公式を習って問題の解き方を教わり、言われた通りの解き方を練習して覚え、テストまでにやり直しをして忘れないようにする、という人も多いかもしれません。でもそれだけでは「問題を正解に解く機械」になっているみたいで、あんまり面白くないでしょう。
 数学はもともとゲームのようなもので、理屈に合ってさえいればどんな考え方をしても許されるのです。1つの問題でも色々な解き方があって、どう考えてどんな解き方で答に行きつくかを考えるのが楽しいと、山本は思います。他の科目では「自分で解き方を自由にあれこれ考える」というのはなかなかできないでしょう。
 公式や理屈もたくさんありますが、それは自分でより高度な考え方に挑むための道具のようなものです。理屈や意味がよくわかっている公式は、切れ味のいい刀と同じです。今まで見たことのない問題にも応用できるし、使いこなした公式でスパッと解けると気持ちいいものです。
 数学の難しい問題を解くのは、山登りに似ていると思います。まず問題文を読んで目標を探し(地図を見て山頂を確認する)、そこまでどうやっていけばいいかをあれこれ考え(登頂のルートを考える)、実際に計算してみて(道を歩いてみる)、やり方をまちがえたと思ったら別の考え方で試してみる(別の道でやり直してみる)。うまく最後まで解ききった時の喜びは、苦労して登り切って山頂に立った時のうれしさと同じです。数学が登山と違うのは、"遭難"しても命の危険は絶対にないこと、数学の世界にはその人にあった"山"がいくらでもあることです。山本も難しい問題で悩むことが今でもありますが、何日もかけて(問題を暗記してお風呂でもトイレでも布団の中でも考える)正解までたどり着くと、叫びたいくらいの感動を味わえます。
 学校のほとんどの授業では、決まった道をみんなで遠足みたいに歩いているだけです。自分で山を選んで自由に登ろうとすれば、教科書を卒業して自分で問題を探すことになります。大学入試のための勉強を、そういう「登山の練習」だと思ってやってみるのは、悪くないと思います。チャートの例題はまだ足慣らしにしかなりませんが、そこから本物の入試問題に行けば、自分で考える面白さを味わえます。楽しみにしていてほしいです(ホントですよ)。(2010/4/27)


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