幸せって何だっけ


 ある人がチェックシートに「幸せって何だと思いますか?」と書いてくれていました。学校でそういうインタビューをするのが流行っているのだとか。難しい質問ですね。みんなはどう思いますか。
 お金や財産がたくさんあれば幸せとは限らないけれど、お金がないから苦しんでいる人もたくさんいます。愛があれば幸せという人もたくさんいるけど、愛って何?と本気で考えると、これもよくわかりません。昔からたくさんの人が幸せについて考えてきましたがまだ決まった答がないのは、やっぱり幸せになる確かな方法が誰にもわかっていないということでしょう。
 ずいぶん昔、明石家さんまのコマーシャルで『幸せって何だっけ、何だっけ? ……ポン酢しょうゆのあることさ』というのがありましたが、夕食がおいしいだけでも十分幸せを感じられるというのも、真実でしょう。
 病気で長い間寝たきりの人は、元気に動けないという意味では不自由でしょうが、それだけで不幸だとは限りません。看病しているまわりの人と心が通じ合い、その人の存在をみんなが認めていれば、幸せを感じることはできます。要するに幸せかどうかは外から見てどうか(客観)ではなく、本人の気持ちの持ち方(主観)によって決まるので、そういう意味では一種の自己満足とも言えます。たとえばお金がないままでも、気持ちの持ち方を変えることで幸せになれるということです。多くの宗教はそういう考え方だし、『気持ちを変えることで幸せになる本』もたくさん出ています。
 山本は、幸せとは「世の中で自分にしかできないことを見つけて、その力で他の人に喜んでもらうこと」だと思います。
 誰にでも、その人にしかない才能があります。勉強ができるとか野球がうまいとかいう目だったものでなくても、掃除がうまくて部屋をきれいにできるとか、本が好きで図書館にいくらでもこもっていられるとか、まわりの人と協力してうまくものごとを進められるとか、得意で好きなことを見つけ出すことができます。山本の家の近所の定食屋さんのおばさんはいつもニコニコとして愛想よく、とてもおいしい料理を出してお客さんと和やかに過ごしていますが、それだってその人にしかできない立派な才能です。
 みんなにとって勉強とは、本当は点数や入試や学歴のためではなく、自分の中に眠っている才能を見つけ出し掘り起こし磨いていく作業なのです。そういう才能を自分だけでなく他人のために使って、誰かに喜んでもらえるのが、人間として一番幸せだと思います。人間は人との関わりの中でしか幸せを感じることができないと思うからです。
 山本にはささやかだけど子どもを教える才能があって(多分……)、自分の力がみんなの役に立てられるのが一番楽しいから、この仕事をやっています。そう思えたのはこの仕事を始めてずいぶんたってからです。人間の才能はそんなに簡単に見つかるものではないけれど、だからこそ自分の才能を見つけて磨いていく作業は他の何にも代えられないほど楽しい作業です。みんなも自分の才能を見つけて、自分にしかない力を磨いて、その力で世の中の誰かを幸せにしてあげてほしいです。建前だけじゃなくて、本当にそう思うんですよ。(2010/6/9)


通信の一覧に戻る

最初に戻る

inserted by FC2 system inserted by FC2 system