選挙が街にやってくる


 7月11日に参議院議員選挙があります。以前と比べると減りましたが、街には選挙カーが出て「○○をよろしくお願いします!」などと連呼しています(時々うるさい)。
 あと何年かすればみんな選挙権を持ちますが、日本では若い人の投票率の低さが問題になっています。全体だと3人に2人が投票するくらいですが、20代の人は3人に1人しか投票しないのです。若い人の選挙に対する意識を高めようとして、政党や政策について勉強してから"模擬選挙"をする中学や高校もあります(神奈川県ではすべての公立高校で実施)。
 もっとも自分の選びたい人(党)がどれかわからないと、投票しようと言われても困ってしまうでしょう。こういう政策をしてほしいと思っていても、その政策を掲げている候補者がいないと、誰にも投票する気になれないこともあるでしょう。山本は選挙で棄権したことはありませんが、自分の投票した候補者が落選してばかりだと、こんなことをして本当に意味があるのかとイヤになることもあります。だから投票に行かない人を責める気にはなれません。もう少しわかりやすい、みんなの思いを政治に反映する方法がないのだろうかと考えたりします。選挙制度に問題があると言う人もいます。
 世の中の多くのことは、政治によって決められています。消費税が5%(もうすぐ上がるかも)なのも、みんなが学校で英語や数学を習うのも、高校入試や大学入試があるのも、大きく言えばすべて政治家と役人によってつくられたものです。政治の力で太陽を西から昇らせることはできませんが、みんなのまわりで政治と関係のないものはほとんどないといっていいでしょう。みんながこの先どんな生き方をするにしても、無人島でロビンソン=クルーソーをめざすのでない限り、政治に関わることになります。そして日本は民主主義の国ですから、世の中を決める政治の責任は政治家や役人だけではなく、すべてのオトナにあります。ワールドカップに興味がなくても問題はありませんが、米軍基地問題で沖縄の人たちが苦しんでいるのに「自分には関係ない」と言うオトナは無責任です。選挙に行っても意味がないと考えるのなら、他の方法を考えて行動するべきでしょう(山本が何をしているかは……ナイショ)。
 博多駅のコンコースでは、夜になるとたくさんの人が段ボールを敷いて寝ています。いつも同じ場所で寝ているおばあちゃんがいるのですが、大丈夫ですかと声をかけると、少し酔った声で「お金ちょうだい」と言ってきます。
 このおばあちゃんがどんな生き方をしてきたのか、駅や公園で寝ている人たちがどんないきさつでそうしているのか、山本にはわかりません。でも住む家がない不安、家族やまわりの人に見放されているような寂しさを想像することはできます。望んでこういう生活をしている人はほとんどいないでしょう。住所不定だと投票にも行かれません。明らかに憲法25条違反のこの状態を放っていることも、オトナ全員の責任です。ホームレス以外でも、この国で政治の不備から苦しんでいる人はたくさんいます。自分がそうでないからといって、また自分だけではどうしようもないからといって関係ないフリをして生きていくのは、無責任であるだけではなく、結局その人自身の幸せにもつながらないでしょう。
 山本だって全然エラそうなことは言えません。博多駅のおばあちゃんの顔を時々思い浮かべながら、どうしたらいいのかを考え続けなければならないと思っています。もうすぐオトナになるみんなには、みんなのこれからの生き方はこの国のあり方と必ずつながっていることを覚えておいてほしいです。選挙を含めた政治との関わり方を、一度はじっくり考えてみてください。
 ※「福岡おにぎりの会」ではホームレス支援を行っています 西南の先生も参加しています(2010/6/30)


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