しつこい人が伸びる


 学校のテストも模試も終わって、一息ついた頃でしょう。しばらくはテストが追われずに、自分のペースで勉強していけます。
 受験生は夏休みが本当に勝負です。色々スケジュールがあって大変でしょうが、計画を立てて時間の使い方を工夫して、充実した勉強をしてほしいです。1・2年の人も復習に時間をたくさん使えるので、今まで習った内容のおさらいをしておいてください。
 問題をたくさん解くことも必要ですが、とにかくたくさんやれば力がつくというわけではありません。マニアのようにやたらと問題集を買い込んで解こうとする人がたまにいますが、限られた時間の中でむやみに数だけ解いてもうまくはいきません。
 人間の脳は、何かを1回学んだだけで完全に覚えられるようにはできていません。自転車に乗れるようになるためには、何回も転びながら実際に走ってみて感覚をつかむしかありません。勉強も同じです。特に教科書に出てくるような基本問題は、完璧にできるようになるまでしっかり何回も練習しておく必要があります。
 ここで重要なのは、忘れかけた頃に復習すること、そして意味を確認しながら解くことです。人間は普通、単純な知識の場合4日たつとほとんど忘れてしまいますが(右上図)、1日置きくらいでやり直しをするとだんだん忘れなくなり、3回以上やり直しをするとその後長い時間がたってもなかなか忘れなくなります(右下図)。あちこちの問題に手を出すよりも、1つの問題をしつこく解いて完璧にする方が能率がいいのです。
 また問題を解く時に、なぜそういう解き方になるのか、どういう流れで解いていくのかをつかんでいくことも大切です。料理を覚えるには1つ1つの料理のレシピを丸暗記するより、鍋とか包丁とか電子レンジとかの器具の使い方や、味つけの仕方の基本を覚える方が大事です。それと同じように、問題の解き方を覚えようとするよりも「どういう流れで解いていくのか」をつかんでいく方が、本物の力がつきます。(なお最近の研究ではこの他に『強い感情とともに覚えると忘れない』というのがあります。感動的や怒りや悲しみとともに経験したことは強く記憶に残るのです。苦労して解いて感動する、なんていう経験もしてほしいです)
 学校のテストや模試も、点を上げたかったら必ず解き直しをすることです。終わったからといってできないところをそのままにしていたら進歩はありません。失敗した問題、今解けない問題を練習して解けるようにすることが点数をあげる一番の近道です。結局しつこい人が勝つのです。底力をつけるためにも、終わった試験の復習を1回だけでなく2〜3回することを勧めます。きっとみんなが思っているよりも成績上がりますよ。(2010/7/14)


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