研修会報告



 研修会報告
 釜ヶ崎って知っていますか? 大阪の西成区、ミナミの繁華街のすぐ近くにある地域で、日雇い労働者(ほとんど男の人)のたくさんいる街です。
 日雇いというのは、朝5時に「寄せ場」に行って、その時に来ている求人を探して仕事に行き、1日分の給料をもらって帰ってくる人のことです。住むところが決まっていなくて、1泊1000円くらいの狭いホテル(ドヤ)に泊まるか、公園などに野宿します。
 この人たちは主に建設業の仕事をします。ビルや発電所、地下道や、関西新空港だって、こうした人たちの手でつくられてきたのです。しかしここには60才以上の高齢の人が多く、冬には路上やドヤで毎年200人以上亡くなります。また今は不況で日雇いの仕事が少なく、稼ぎがなくて困っている人がたくさんいます。老後の保障もなく、大企業に利用されながら、みんなの使っている色々な建物を造っているのです。
 それなのに釜ヶ崎といえば「危ないから近寄っちゃダメ」とか「何されるかわからん」と考えてしまう人もいます。山本はここに行ったことがなくて、とにかくどんな場所か知りたいと思い、キリスト教団体の主催する「釜ヶ崎夏のゼミナール」に参加してきました。
 日曜日の昼過ぎ、地下鉄動物園前で降りて、ホテル街の中へ。1日目は釜ヶ崎で働いている人の話を伺い、2日目は福祉施設の見学と夜の見回り。夜の11時くらいに通りを歩くと、新聞紙を敷いて眠っているおじさんがたくさんいました。「こんばんは」「お体、大丈夫ですか」「気をつけてくださいね」と声をかけながら歩いていくと、あるおじさんに呼び止められました。
 「おまえらえらそうな顔してるけど、西成の人間をバカにするんじゃねえぞ!」
 「キリスト教のやつらも、わしらを利用してもうけているんや」
 「わしは自分の力で稼いでいるんや。他の誰にも迷惑かけてないんや!」

 立て続けに言われて、何も言い返せないまま聞いていました。でも最後に、
 「にいちゃん、がんばってや」
 と言って握手をしてくれたのが、なんだか不思議にうれしかった。
 3日目は朝5時に起きて炊き出しの手伝いをしました。公園で大きな鍋にニンジン・ジャガイモ・タマネギを入れ、野菜スープをご飯にかけただけのものを、並んで待っている人(800人くらいだったとのこと)に配っていきます(タダ)。ほとんどの人が2杯食べ、11時には全部なくなって終わりました。山のようなお皿を洗いながら、「何でご飯代も稼がれへんのやろ」「どうしたらいいんかなあ」という思いが頭の中を駆けめぐっていました。
 今回は初めてだったこともあって、経験することにいちいち驚くだけでした。この場所についてはもう少し勉強してみたいです。釜ヶ崎についての本を本棚に置いておくので、ヒマなときに読んでみてください。(この本です)

 誕生日にプレゼントを……?
 誕生日に歌を歌っていますが、「何かプレゼントがほしい」という意見があります。そこで、みんなで値段を決めて1人1つずつ贈り物を買って、くじ引きで他の人のプレゼントをもらえるようにしたらどうでしょうか。もう誕生日の終わった人もいますが、そういう人も含めてやってみませんか。一度話し合いたいと思うので、考えておいてください。

 どうしたらよいのでしょうか?
 LHRでクラス委員と体育祭の選手を選びました。けっこう時間がかかってしまいましたが、無事決まってよかったです(司会や書記をしてくれた人、ご苦労様)。最初立候補したところまではよかったのだけれど、後が大変でしたね。
 山本がよくわからないのは、「誰かを推薦したらその子に恨まれる」ということです。やりたくないこともあるだろうし、人に押しつけるのがいいことではないけど、これは「○○さんが××さんに押しつけた」という個人の問題ではないのです。
 「自分がやるのはイヤだから誰かに押しつけてやろう」なら、恨まれるかもしれない。でも「私はこのクラスの中で、○○さんがこの役にふさわしいと思います。××だから」と言えるようになってほしい。推薦された人は理由をつけて拒否することもできるし、「そういう理由なら△△さんの方がいいと思います」と言ってもいい。立候補が一番いいですが、きちんとした理由をつけて推薦もできるようになってほしい。お互いのことをよく知ること、誰が本当にふさわしいかを感情抜きに考えられること、それがみんなにできてほしいことです。
 この言葉をみんなに贈ります。
 「労働がサルを人間にし、言葉が個人を集団にする」
 仕事を進んですること、自分の思いを伝えたり聞いたりすることをきちんとしていってほしいです。(1994/9/16)


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