地震に負けないで!

 *悪いことばかりでもないが……現状

 大変なことになってしまいました。最初の2・3日は連絡も取れなくて、ただヤキモキするだけでしたが、とにかくみんなと家族の人が無事でいるかどうかが心配でした。
 このクラス43人は、家族の人を含めて全員無事でした。(よかった!)でも家がひどく壊れてしまったり、焼けてしまったりした人はいます。家から避難している人もかなりいます。
 学校の建物はほぼ無傷でした。専任の先生も全員無事でした。(避難している先生はいます)ガラスなどの損傷もほとんどないので、生徒と先生が来られるようになれば再開できるようです(ただし水道とガスはしばらく出ない)。
 ただ交通がまだ滞っていて、30日の登校日も行けるかどうかわからない人の方が多い状態です。学校への行き方については先生たちもまた相談する予定なので、こちらからまた連絡を回します。


 *地震の日からの色々

 山本は17日の後半から生徒に連絡を取り始めたものの、18日までは電話がほとんどつながらず、19日までに神戸と西宮以外の人と何とか連絡が取れただけでした。
 20日には何とか学校に行こうと思い、自転車で神戸へ向かいました。尼崎に入ると開いている店がほとんどなくなり、西宮に入ると崩れた木造家屋や道路に投げ出されたブロック塀で走るのも恐い状態。西宮北口から阪急の線路に沿って行くと線路ごと道路に向かって折れ曲がっているのがすざまじい。この線路が直るのはいつの日だろうか……
 学校に着くと電話が鳴りっぱなし。生徒からの連絡と中学入試の問い合わせで朝から大変だったとのこと。中3のスキ−キャンプは中止、中学入試と高3の学年末試験は延期が決定。
20日の段階で生徒2人(中1ではない)が亡くなったとのこと。……中1の先生が集まりこれからのことを話し合うが、まだみんなボウゼンとしていて、とにかく生徒と連絡を取ることしか考えられなかった。学校に来られない先生もいて少し心配。
 帰りは三宮に向かい、連絡の取れないクラスの人の家を探す。とんでもないときに家庭訪問が実現してしまった。今度はビルが道路に向かって傾きかけていて、その下を平気で自動車が走っていく。この辺で地震にあった人はもっと恐い経験をしたんだろうけれど、それにしてももし今、余震でビルが倒れてきたら……責任者何とかしろよ−!
 何とか2人と連絡が取れたものの、帰り道はフラフラ。崩れかけた夜の道路を走るのはホント恐かった。往復ざっと100q、翌日は足腰がガタガタでダウンしてしまった。
 23日には宝塚と灘区の方を回りました。交通が不便でしんどいけど、みんなの顔を見ると山本も元気になれました。ホントみんな無事でよかった!

 それにしてもこんなときなのに、というよりこんなときだから、みんながとてもやさしい。みんなの家や避難先へ訪ねていくと、お父さんやお母さんがとても暖かくもてなしてくれました。食べ物の足りないときにパンをいただいたり、駅まで車で送っていただいたり、カサを貸して下さったり。
 避難先で風邪をひいてしんどそうな生徒の顔を見て涙が出そうになったけど、みんなを守ろうとしている大人−−−保護者の方々−−−がいる限り、絶対大丈夫なんだなと思った。心が暖かくなれるのは、場所や食べ物やお金とは全然関係のないことなんだなって思えた。何もできない自分がとてもはがゆくて悔しかった。ありがとうございました。
 近所の人に水を配っているお母さん、家がなくなってしまった人をあずかりたいと申し出てくださった人、色々な連絡を友だちに回してくれた人、みんなやさしいね。さすがです。
 他にも、夜の西宮で道を教えていただいた人、駅で小銭が10円足りないときに横からさり気なく差し出してくださった人、色々な人に助けてもらいました。
 山本にとっては、とても勉強になった地震でもありました。


 *これからのこと

 学校の授業などの予定はまだ立っていません。少なくとも今までの2週間分の授業はどこかで補わなければならないのですが、どのような形でするのかもまだ決まっていません。でも学校のことは学校のスタッフで考えていますし、みんなにとって一番いい方法を考えていくつもりです。
 みんなにして欲しいことは、学校のことよりもまず家のことです。地震で家が壊れたり、水道やガスが止まったりしているところは、とにかく家のことをして欲しい。そうでない人も、普段できない(やっているかな?)家族の一員としての家の仕事をして下さい。家族と離れて避難している人は気遣いもあり大変でしょうが、無理をせずに自分なりにできることを考えて下さい(こういうときこそ頭をフルに使おう! みんななら絶対できるから)
 もちろん勉強も忘れてはいけないけれど、今はできるだけ「家族といっしょにいること」を大切にして欲しい。

 担任として1つだけお願いがあります。
 どんなことがあってもみんなはクラスの仲間です。もう1度43人全員で学校で会いましょう。家の事情が色々あるでしょうが、しばらく学校を休むことがあっても、いつか必ず全員が元気な顔を合わせて欲しい。そしてお互いに助け合えることは何か、今から考えて下さい。
 30日も、遅れてもいいからできるだけ登校して欲しい。「学校のみんなと会いたい!」と言っている人はたくさんいます。交通事情と家の事情が許せばですが、できるだけ近くの人が連絡を取り合って一緒に登校して下さい。来られない人は学校か山本の家のほうに連絡を下さい。学校に行く方法については今調べているので30日までにはもう1度連絡をします。 (1995/1/25)


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