手取り足取りのよしあし

 この塾では色々補習をしています。山本も今年は特に中3などでたくさん補習をしているつもりです。
 補習を含めて授業をたくさんするほど(時間をかけるほど)力がつくのは、当然と言えば当然です。教師は普通授業をするのが好きですから、熱心な先生と生徒がそろえば、当然授業をたくさんするようになります。受験の実績もそれで上がります。
 ……いいことづくしかな? どう思いますか?
 塾ですから、みんなから「補習をしてほしい」という要求があればもちろんつきあいます。でも塾の補習に来るだけで「補習に来ていれば大丈夫」と思うのは、ちょっとコワイ。
 勉強は"問題が解ける・わかる"だけですむものではありません。受験前の土壇場になるとみんなわかってきますが、「自分を知る」ことがどうしても必要になります。
 どの科目が得意でどれが苦手なのか。どんな参考書が読みやすいのか。どんな勉強方法が自分に合っているのか。それぞれの時期にどんな勉強をするべきか。もう1つ基本に戻ると、そもそも自分がどんな進路に進みたいのか。
 そういうことはどんなに学校や塾ががんばっても教えきれません。相談したり手助けすることはもちろんできるけど、ある程度は失敗や試行錯誤をしながら自分で見つけていくものです。自分のやり方をちゃんと知っている人は、長い目で見ればそんなに大崩れしないし、その気になってやれば非常によく伸びます。
 塾や家庭教師に引っ張られて合格する人はもちろんいます。でもそういう人が合格した後で、大学や社会に出てからもきちんと自分の力で勉強できるかどうか、山本は不安です。自分で学ぶ力のない、切れたゴムのようなオトナも世の中にたくさんいるからです。「手取り足取り」というのは悪く言えば、それしか方法がないほど追い込まれた人の最後の手段だと思うのです。余裕のない人はそれで仕方ありませんが、ずっと誰かに頼っていくことはできないのです。
 山本は昔は、とにかくたくさん補習をしようというタイプでしたが、今は少し考え方が変わってきました。手抜きをしたいわけではないです(山本は1日10時間授業してもイヤになりません)。ただムリヤリ補習に来てもらうのは好きになれません。本当は、塾の教師にそこまで強制する資格があるとも思いません。
 いつも言っているつもりですが、まずは自分でどうするべきか考えてほしいです。自分で考えてほしい、と言うと、楽な方に逃げてしまって「塾に来ないで自分でやる!」と言って、結局家でまともに勉強ができず失敗する人もいます。それは実際には、自分のことを真剣に考えたことのない、自分を大切にできない人の失敗です。自分でするのは人に頼るよりよほど難しいのです。だからこそ今から、半分人に頼りながらでいいから、少しずつ自分のことを自分で決められるようになってほしいです。
 小6や中3の人について言えば、今から自分で試行錯誤をしている時間も余裕もない人がほとんどですから、ある程度はこちらから強制することになります。本当は小6になる前に、自分の勉強のペースや方法をつかんでおくべきだったと思います。今自分で自分のことを決められないと思ったら、入試まではこちらの"手取り足取り"に乗ってください。そして次の学校に上がったとき、自分のやり方を作っていってほしいです。
 最後につけ加えますが、自分からどんどんこの塾を利用してください。遠慮するのはお金の無駄遣いです。必要な補習はもちろんやりますが、それだけに頼らず「こうしてほしい」と言える人は間違いなく伸びます。 山本は、こちらから言うのではなく、みんながやる気になるのを期待したいのです。みんなは他の誰のためでもなく、みんな自身のために来ているのだから。 ……そこを信じてもいいよね? (1996/6/24)

 先週の「しんどかったわい」

   小5はてこ・滑車・輪軸と続くシリーズで、実験のしやすいところです。
   とにかく一度は実験をしておこう……ということで、
   先週は滑車を持っていきました。
   塾には学校のようなきちんとした器具はありません。
   おもりはラジカセ、みんなに見えるように机の上に乗って
   両手で滑車を持ってバネはかりで引っ張って……なかなかしんどかった。
   なんだかんだ言って学校は物持ち・お金持ちでうらやましいです。
 



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