学校を選ぶことの意味

 受験生と過ごす夏は、忙しいけどやりがいもあります。まだ緊張感のない人も少し(?)いますが、しんどい日程でもがんばって塾に来るみんなの顔を見ていると「がんばらなきゃ」という気になります。

 志望校のことで色々考えることもあるでしょうが、いつも言っているように、悩むことも一つの勉強です。自分がどんな学校に行きたいのか、どんな道を選びたいのか、これからのことについて考えるいい機会でもあります。
 ……といっても、上の学校が実際にどんなところなのか、いくら説明会やパンフレットを見てもわからない方が普通です。事前にはっきりわかるのは、通学にかかる時間(距離)とお金のことくらいです。実際にその学校に通ってみて初めて善し悪しがわかることも少なくありません。学校を選ぶこと自体が一つの"かけ"でもあるわけですね。

 偏差値の高い学校=いい学校とは限りません。自分のやりたいことができる、新しい自分を見つけられる、そんな学校が「いい学校」なのだと思います。でも中学や高校受験では、自分に何が向いているのかなどわからないでしょう。だからどうしても偏差値でものを見てしまうことになります。あまりそれがいいとも思えませんが……

 「偏差値の高い学校を目指す理屈」があるとしたら、
  将来、自分の好きな進路(=就職・会社)を選びたい
 →選べるような学校=進学率の高い学校に入っておく方が有利
 →今のうちから進学率の高い学校に入れるようにしておいた方が有利
 というところでしょうか(言い過ぎかな?) でも結局、自分が何をしたいのかわからないと、どこかで進んでいけなくなるように思います。
 山本は高校時代にバクゼンとした夢を持って大学に行きましたが、大学で色々な経験をするうちに夢そのものが変わっていきました。結局高校時代には一番なりたくないと思っていた教師になってしまいましたが、今ここにいることを後悔はしていません。
 大学ではそれほど優等生でもなく、他の学部の授業にもぐったり、バンドのツアーでほとんど勉強しない時期があったり、やりたい放題でした。それでも卒業できたし、自分のやりたいことをさせてくれた、色々な出会いの場を与えてくれた、そういう意味で学校には感謝しています。それが「自分に合っている」ということだとわかったのは、卒業してからです。だから今、みんなが悩むのは当り前のことだけど、悩んでも仕方のない部分があるのも事実だと思います。
 実際には自分の学力に見合ったところで妥協することになるでしょうが、本当の自分を見つける旅はその後から始まるのです。(本当は大学に入る前に「自分を探す」訓練を学校がするべきなのだけど、日本の学校はそのへんが手抜きですね)
 だからもし、自分のやりたいことがはっきりわからないのならば、「偏差値の高い学校に入るのが一番大切なのではない」ことを知っておくべきです。さもないと、合格した瞬間に目的をなくしてしまって、いい加減な(自分の意志で行動できない)生活が続くことになります。今覚えている化学式を大学に入って忘れてしまってもさして問題ありませんが、今までの自分がどんな人間だったか、これからどうしたいかということは考え続けなければならないのです。
 とは言え、特に理系の人にとっては、偏差値の高い大学ほど実験設備が充実しているのも(これは一種の差別だと思うが)事実です。私立や地方の国公立ではスポンサーがつかない限りなかなか十分にお金が使えません。
 ただ研究の内容はそれこそ研究者の数だけあるのが普通です。大学の内容は資料で読んでもよくわかりません。自分で大学の学生課あたりに電話をするなりして、研究室を訪ねてみるのが一番いいと思います。学校のことを一番よく知っているのは、教授ではなくて大学院生とか4回生あたりです。できれば多少強引にでも、話を聞いてみるのがよいと思います。

 オチのつかない文になりましたが、高校生の人には「生き方の勉強」もぜひして欲しいと思います。相談くらいにはのれますので、よければ利用して下さい。



〜宛名のないメッセージ〜
 ※暑中お見舞いありがとう。うれしいです。
   返事が書けなくて申し訳ないけど、その分授業をがんばりたいと思っています。
 ※理科の小テストがんばったね。やればできる! 少しずつ力をつけていこうね。
 ※新聞の切抜きありがとう。使わせてもらいます。
   いつも真面目に授業を聞いてくれてうれしいです。先生もがんばるからね。
 ※富士山の石を持ってきてくれてありがとう。わかりやすいギョウカイ岩でした。
   これからも面白いものがあったら見せて下さい。
 ※大学の資料は役に立ちそうでしょうか。こんなことしかできませんが、
   後は自分でじっくり考えてみて下さい。大学に行ってみるのもいいと思いますよ。

 ※そして、今の自分の限界をこえられるように努力しているすべての人に;ご苦労様。
   来年の春みんなで笑えるように、がんばりましょう。 (1996/8/1)



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