大学院の思い出
大学では京都の清滝川でゲンジボタルの研究をしましたが、大学院は琵琶湖岸にある大津臨湖実験所(現在は生態学研究センター)を選びました。大津市の西の方、湖西線の叡山駅から歩いて15分、田んぼの続く田舎の国道沿いにある小さな施設でした。回りには中華料理屋と酒屋、それに小さなレストラン(夜中までやっていて重宝した)があるくらい。友だちには"都落ち"などと言われたりしましたが、別に迷いませんでした。
下宿は京都駅の近くで、嵐山の近くの塾でバイトをしていたので、バイトのある日は夜まで授業をして、そのまま大津に行って泊り込みで勉強をしたりで、先生からは「君はいったいいつ研究をしているのか」などと言われたりしました。
さて山本は何をしていたのかと言うと、ややこしいのですが、湖岸に生えているヨシ(アシともいう、イネ科の水草)の茎にくっついている生きものについて調べていました。(ややこしいのですが……)
琵琶湖は「近畿の水がめ」長岡も高槻ももちろんのこと、大津から京都・大阪・神戸までの飲み水の元になっているのが琵琶湖です。その水が汚れ始めていること、汚れの原因の一つとして岸にあるヨシなどの水草の生えている場所を埋め立ててたりしていることがあることを聞いていました。実際にヨシの生えているところにどんな生きものがいるのか、調べてみたいと思いました。
実験所の近くのヨシをじっと見ていると、茎は半分水につかっているのですが、水中の茎には薄茶色のモワモワしたものがくっついています。
何やろ?と思って切り出して顕微鏡で見ると、茎の表面にカイコの糸のようなもののかたまりがくっついていて、その中に小さな虫やらミミズやらミジンコやらがウジャウジャしている。これは面白い!
先生に見せても「これはあんまり見たことがないなぁ」ということでした。もしかするとこれは日本で(世界で?)初めての研究になるかもしれない??? それにこの生きものたちが水をきれいにするカギになっているかもしれない???
ということで、「ヨシ茎表面のほふく生物について」というテーマで調査・研究をしていくことになりました。(続く?)(1996/12/9)
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