自由に生きるために

 この塾は3月から新年度になるので、この通信も年度の最後ということになります。
 文章は家で仕事時間外に作ること、授業の準備に差し支えるようになったらやめること、という条件を自分で決めてやってきました。まさか1年続くとは思っていませんでした。
 この1年は受験学年を3つかかえて我ながら大変でした。しんどくなって他の先生にグチをこぼしたり迷惑をかけてしまったこともありました。それでもこの通信を続けてきたのは、「勉強の息抜きとしてみんなに読んでもらえれば」ということもありますが、文を作ることで自分の欲求不満を解消したい気持ちもありました。(不謹慎な……??)

 いい授業をすることが第一の仕事ではありますが、授業の中味以外でもみんなに言いたいこと・考えて欲しいことはたくさんあります。授業の中でそういうことを一つ一つ取り上げていけたらいいのですが、それができないときは、多少しんどくても文にしてみんなに伝えた方が気分がいいのです。
 この通信はきっと、山本にとってのささやかな"自由"だと思います。
 自由とは、自分の好きなことを気まま勝手にすることとは少し違います。自分の持っている力・いいところをみんなのために使うこと、自分にしかできないことを誰かのために使うことだと思います。

 教師は、その仕事のすべてを生徒のために捧げ尽くすのが本来です。塾であれば学校ほどの制約はない(はずな)ので、実験のネタや雑談や歌(???)など何でも使って、みんなに賢くなってもらいたいし励ましていきたい。それが楽しいと思えるうちは、教師でいる資格があるとうぬぼれています。うぬぼれているだけで、どれほどできているのかよくわからないところが未熟者なのですが。
 でも山本は、自分が講師でなく教師であることにどうしてもこだわりたい。知識や技術を機械的に押し込むような授業から抜け出して、本当の考える面白さ・理科の面白さを一緒に味わってもらいたい。そのための勉強を続けていきたいと思っています。

 大学に入った頃、この仕事をすることになるとは夢にも思っていませんでした。自分が何に向いているのか、どんな仕事をすれば自分の力を生かせるのか、それがわかるのに色々な遠回りをして何年もかかりました。遠回りしたことは後悔してないし、今の仕事が好きだと言えるからよかったと思います。学生時代を振り返ってみると、学校の試験のために勉強したこともいくらかは役に立っていますが、大学のサークルやボランティアで学校の外の人と接しながら学んだことの方が、はるかに今の自分を支えてくれているようにも思います。受験勉強もそうでない(当たり前でない)勉強もすべてが、今の山本の力になっています。

 勉強は誰かのためにするのではありません。偏差値の高い学校に入るだけのためのものでも、断じてありません。自分のやりたいことをする、そのための力をつけるために勉強をして欲しいのです。遊ぶことが勉強になることもあるし、バイトが勉強になることもあります。何が自分にとって必要なのかを考えることも、失敗を恐れずにやってみることも、今のうちにしておいて下さい。(←遊んでばかりでいいという意味ではないですヨ)

 塾は、勉強の中のほんの一部分を支えることしかできません。試験の点数がいいからといってそれだけで浮かれているのも、試験の点数なんかどうでもいいといって開き直るのも、大切なことを見失っているように思います。でもこの場所にいる間に、自分のこれからについて考えることは必ずして欲しいし、その相談相手になることは山本にでも、もちろん塾の他の先生でもできます。
 授業を持たなくなっても山本はみんなの先生であり続けるつもりです。どこかで会ったらまた元気な顔を見せて下さい。そして自分の目標を考えること、目標に向けて自分のベストを尽くすことの大切さを忘れないで欲しいと思います。(1997/2/24)


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