実験にまつわるナンヤカンヤ

 理科の授業をするのに実験や観察が一切ないというのは、いくら塾でもヘンだと山本は思います。最近では予備校でも実験の授業があるそうです。まあ中3や高3あたりで実験をするヒマがないのはしかたないのですが、中1や中2ではできるだけ実験をしたいと思っています。
 実験は教師も楽しいし、実物を見ればその分きちんと覚えていられるし、第一面白い。でももっと大切なのは、教師の言うことを信じるのでなく、実物を自分の目で見て確かめるということです。

 理科はきちんと言うと「自然科学」といって、自然の中にある理屈を探しだし、筋道だてて考える学問です。エライ人が言ったからといって本当であるとは限らない。事実はすべて実験・観察によってはっきりするのです。言葉の意味などは覚えるしかありませんが、公式や現象などはできるだけ「実際にどうなるのか」「理屈で考えるとどうなるのか」で突き詰めていくのが本当です。
 だから実験をするにしても、最初から答えがわかっていることをやってみて「教科書通りになってよかったね」ではつまらない。失敗があってもいいから「どうなるんだろう」という予想をたててドキドキしながら見られるのがいい実験です。そういう実験を考えるのが難しいのですが……
 それはさておき、もともと設備がない塾で実験をするのは大変です。試験管がないのでファイブミニを飲みまくって容器を使ったり、ガスバーナーがないのでアルコールランプや電気コンロを使ったり、机の中が実験道具だらけになって、専用の棚を買ってもらったり。上皿天びんや顕微鏡や輪軸など、学校には絶対あるのに高くて買えない。みんなにグチをこぼしたこともあります。

 今までした実験をいくつか;

◎音の話でギターを使う。音を出すだけだと受けないので最近は"カエルのうた"くらいを弾くようにしている(ギターはほとんど弾けない)。

◎凸レンズとロウソクを使って、教室の壁に像を作る。昔の忍者もこれを利用して相手を脅かしていたらしい(マンガ「サスケ」にのっている)。部屋を暗くしてやると結構雰囲気が出る。

◎オキシドールと二酸化マンガンで酸素を作り、線香を入れると炎を上げて燃える。これは教科書通りだけど結構面白い。水素に火をつけるのもやってみたいけど、安全にやる方法がまだ開発できない。うーん。(『アンモニアの噴水』もやってみたい!!)

◎昔、京都の塾で中2相手にネズミの解剖をしたことがあります。最初はみんなおっかなびっくり、さわるのもいやがっていましたが、誰かが切り始めるとみんな見始め、最後の方は「ここは小腸?大腸」「これ盲腸じゃない?」「脳を見てみたいから、骨の切り方を教えてー」など大騒ぎ。全部終わった後、桂川の河川敷に埋めてお祈りをしたのを覚えています。
 解剖について、するべきでないという意見もありますが、山本は、みんながまじめに取り組んで、その時の「命の光景」からみんななりの何かを学んでくれるのなら、する価値はあると思います。この塾でできるかどうかわかりませんが、考えてみたいと思います。(1997/6/19)


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