点数を出すことの意味


 山本はパソコンでテストの集計をしています。統一テストなどで採点が終わると、点数順に並べてみます。順位を教室にはりだすこともしています。
 今回の統一テストも結果をはりだしていますが、ある人から
 「点数が出るのは恥ずかしいのでやめてほしい」
 と言われました。そのときはみんなに少し話をしてから結果の紙をはずしましたが、もう少しここで補足をしておきたいと思います。

 まず、これは覚えておいてほしいのですが「自分の意見はどんどん言ってほしい」ということです。あなたたちが自分の考えを言ったからといって、そのことで怒ることは絶対しません。はたから見るとしょうもない文句、ということもあるかもしれませんし、いつでも意見を聞くヒマががあるわけでもありませんが、とにかくみんなが思ったことを教師に言う権利はあるし、できるだけ聞く時間・機会をつくりたいと思っています。山本の悪口を面と向かって言ったからといって、その後でつらくあたることはしません。(そのくらいの訓練はしてきているんですよ)

 さて 点数のことですが、はりだすこと自体にはいい面と悪い面があると思います。絶対はりだすべきだとは思っていません。テストの点数は本来プライバシーですから、人に見せるかどうかは本人が決めるべきです。みんながドウシテモイヤダと言えば、山本は貼るのをやめます。塾の廊下に模試や塾のテストの成績が貼ってありますが、これも本来みんなが「いやだ」と言えばやめるべきものです。
 点数を出すことにいいところがあるとすれば、「いい点をとった人の励みになる」「自分の順位がわかる」「勉強の目標(順位の)をつくる材料になる」というところでしょうか。"管理的な"教師の立場からいけば「順位を出すことで競争意識を駆り立てる」というのもあるかもしれません。
 逆に悪いところは「自分の点数を人に見られるのは恥ずかしい」「プライバシーの侵害」ということになるでしょう。"順位"ということからいけば、成績の本当の意味は人と比べることではなくて、自分の習ったことがどのくらいできているのかを確かめることです。だから順位を出すこと自体がおかしいという考え方もあります(山本も半分はこの考えに賛成です)。
 もし入試が「成績上位何人が合格」ではなく「この試験で○○点以上とれれば合格」という資格試験のようになれば、成績を人と比べたり順位を気にする必要はなくなるので、点数をはりだすようなことはなくすべきでしょう。

 しかし山本はもう1つ、点数をはりだすことに意味を持たせたいと思っています。
 塾の統一テストは、基本的には今までの授業の内容から出ます。まあ10点分くらいは解けなくても仕方ない問題(力試しの意味の、入試問題レベルのもの)も入っていますが、授業で説明した中味が理解できれば、最低でも8割はとれるようにしてあります。少なくとも今回のテストについてはそうですし、山本は毎回そのつもりでつくっています。ですから事情がどうあれ8割とれなかった人は、どこか勉強不足のところがあると思わなければいけません。これはどのクラスでも本来同じことです。クラスによって合格基準が違うのは本当はおかしいのです。

 山本はみんなに「自分の点数に責任を持つ」ということをしてほしいと思っています。自分が努力して点数が上がったら喜んでほしい。努力せずに点数が悪かったのなら、それは自分の責任として受け止めてほしい。努力しても点数が上がらないのならば、何がおかしいのか考えてみてほしい。それは@勉強の仕方かA学校か塾の授業・教師のやり方かBその他の何か、のどれかが悪いのですから、そこからどうしたらいいのかを考えてほしい。そういうことをしていくためには、自分の点の重さをはっきり認識しなければなりません。みんなにそういうことをしてもらうために、点数を外に出しているつもりです。結果が人に見られてもかまわないくらいの気持ちで試験に臨んでほしいのです。

 テストの点は、もちろんいい方がいいけれど、点が悪かったからといってそれで終わりというわけではありません。あまりサボっていれば山本も怒るときはありますが、そんなことよりも「何が悪かったのか」「これからどうすればいいのか」を真剣に考えてほしいのです。それがきちんとできれば、悪い点をとった意味があるのです。自分の点数を見て、それが本当に今の自分の実力だと思うのなら、恥ずかしいと思わないでほしい。「これだけ勉強してこれだけとれたんだ、文句あるか!」「今回は勉強不足だったから悪くても仕方ないや、次で挽回しよう」と思える人は、テストを上手に使っている人です。みんなにそうなってほしいと思っています。
 ただ「結果に責任を持つ」ことと「テストの点数をはりだす」ことは直接関係ないとも言えます。点数を出そうが出すまいが、自分の結果を見直すことはできるからです。だから点数をはりだすことが絶対いいとは言い切れないし、山本も状況によって使い分けていきたいと思っています。また意見を聞かせてください。(1997/9/27)

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