広末涼子を弁護する〜推薦入試について


 (注;この話は新聞や週刊誌で読んだことからつくっているので、全部が本当のことかどうかわかりません。みんなが考えるネタとして読んでください)
 広末涼子というアイドルがいます。今高校3年生で、心理学を勉強できる大学に行きたいのだそうです。
 この人はテレビや舞台などの仕事で忙しく、受験勉強をするヒマがなさそうに見えます。そこで早稲田大学の『一芸推薦入試』を受けるのではないかという噂が流れました。一芸推薦入試というのは、普通の学校の勉強以外の"特技"がある人(高校野球で活躍した人とか、芸能界でたくさん仕事をしている人とか)を優先して合格させるものです。学校の成績も関係はあるのですが、普通の高校生とくらべて合格しやすいのは事実です。
 すると、これに対して反対する早稲田大学の学生が出てきました。大学の中に
 「広末涼子スイセン合格反対!一般入試で来てね」
という看板を立てたのだそうです(ヒマだなぁ……)
 これは"芸のない"人のやっかみかもしれないし、早稲田大学が学校の人気を上げるために有名人を合格させることへの反対なのかもしれません。たしかに、普通の試験で早稲田に合格するのは簡単ではないので、もしこの人が合格すると一種の裏口入学みたいに見える人もいるでしょう。
 こんなに極端な例でなくとも、試験の点数はよくないなのにクラブ活動などの成績で高校や大学に合格する人は毎年たくさんいます。これは不公平なことなのでしょうか。学校は勉強するところだから、勉強以外の方法で合格するのはずるいのでしょうか。みんなはどう思いますか?

 この話には2つのことが隠れているように思えます。
 1つは「大学に行くのに試験は必要か」ということです。大学での勉強についていける程度の学力があるかどうか確かめたい、というのはあるでしょう。でも心理学を勉強するのに、入試に出るような英文や古文が読めなくてはいけないとは思えません。高校であまり実力がなくとも、大学で自分の好きな勉強に打ち込めば十分取り返せます。逆に、大学に入ったときの知識や能力が、大学でボンヤリ過ごしている間にさびついたりしたら、大学に入る意味がありません。大学が勉強するところだとしたら、入るのが大変で入ってからボケるより、入るのは簡単にして卒業するのを難しくした方がいいと思います。だから入試も今より簡単にして、"自分はこれを勉強したい!"という人はどんどん入学させて、その代わり大学で勉強しない人は卒業させずどんどん留年させればよいのではないでしょうか(これはアメリカの方式です)。
 今は「大学にはいるまではがんばって勉強しなさい(=大学に入ったら遊んでもいい)」ですが、大学の意味を考えれば「大学に入るまでは自分のやりたいことを探して、大学に入ったらがんばって勉強しなさい」の方が自然でしょう。だから広末さんが本当に心理学を勉強したいのなら、どんな入試ででも大学に入ればいいと思います。彼女が勉強に対していい加減な気持ちなら、大学の方でビシバシ落第させればいいでしょう。これは今の段階では不公平かもしれませんが、結果的には普通の入試で入った人とそれほど違いがないような気がします。

 もう1つは「なぜ早稲田大学か」ということです。心理学が勉強できる大学で、推薦で合格できそうなところは他にもあるはずです。わざわざ有名大学・偏差値の高い大学をめざす理由は何でしょうか。
 今の世の中では、有名大学に入ること=大きな会社や国の役所に就職しやすい=安定した生活ができる(かな?)という考え方があります。でも広末さんにはこんなことは関係ないでしょう。高校や大学を偉ぶ理由には色々あるでしょうが、自分のしたいこと(勉強とは限らない)が一番しやすい学校を選ぶのがよいと思います。自分のしたいことがよくわからない人は、偏差値とか見栄とかまわりの人の思惑とか、あまり大切でなさそうな理由で選ぶことになります。広末さんが見栄で早稲田を選んだのでないことを祈ります。また先に書いたように、大学の方が人気取りのためにこの人を合格させるのでないことも祈ります。
 みんなにも、自分がなぜこの学校を選んだかハッキリ言えるような人になってほしいと思います。自分が広末さんの立場になったらどんな選択をするか、考えてみるのもいいかもしれませんね。(1998/10/27)

追記;広末涼子さんは結局早稲田大学を中退しました。大学の講義にはほとんど出席せず、単位もあまり取れていなかったとのことです。ただこのことだけから「彼女の選択がまちがっていた」とは言い切れません。むしろ彼女をえこひいきせず、安易に単位を与えなかった大学側は正しかったと思います。(2004/8/16)

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