夢を思う力


 あけましておめでとうございます。今年もよろしく。
 1999年というと、世紀末だとか、7月に何か起こるんじゃない? とか、明るくない話を聞きます。そんなときは、人生前向きに考えるもんだなどと言ったりしますが、かく言う山本も「これから世の中がどうなるんだろう」とまじめに考えると、ウーンとうなってしまいます。○○トラダムスの予言を信じなくても、環境問題……食糧危機……原子力発電所が爆発したら……戦争が起こったら……などなど、いつ今の世界が崩れてしまっても(残念ながら)不思議でありません。
 そういうことから目をそらしてはいけないし、自分でできることを考えなければならないのですが、やっぱり気持ちは楽天的になっていたいです。そのためには自分の夢を持つのがいいかなと思います。
 みんなは学校で「今年の目標を書きなさい」なんて言われるのでしょうか。先生に言われてもっともらしい目標をつくるのもいいですが、自分ひとりの心の中で、もっと大きな"夢"をつくってみるのもいいでしょう。
 夢は目標とは少し違っていて、すぐには実現しないような、遠く大きい理想です。「○○高校合格!」は目標にはなりますが、夢とはちょっと違います。高校に入って、友だちをつくったり勉強して力を蓄えて、オトナになったときにこんなことをしたい! というのが"夢"です。大きい夢をかなえるために、目の前の目標をひとつひとつこえていくわけです。
 人間は目標がなくても生きていけますが、進歩・成長していくためには目標をつくって努力する必要があります。勉強なら「ここがわかるように」「この問題が解けるように」スポーツなら「今度の試合に勝てるように」「今までよりいいプレーができるように」など。そして、人から押しつけられない、自分の手作りの目標を立てるには、もっと大きな"夢"を持っておいた方がやりやすいのです。
 山本が中学を卒業するときに、クラスの人が1つずつ「将来の夢」を書いていました。学校の先生になりたいとか、保母さんになりたいとか、サッカーでオリンピックに出たいとか(当時はJリーグはなかった)、そんな感じでした。今のみんなの夢はどんなものなのでしょう。
 別に「こんな仕事に就きたい」ではなくて「世界一の美人と結婚したい」とか「世界中のサッカーの試合を見たい」とかいう夢でもいいと思います。でも山本はできるなら、「自分のいいところを活かして、世の中の人のためになる何かをする」という夢を持ってほしいです。それは、世の中に働くのが義務だからではありません。世界でひとりしかいないあなたらしさを発揮すること、その力を活かしてまわりの人と助け合っていくことが、人間にとって一番楽しいことだと思うからです。
 昔とくらべて今は、夢をつくるのが難しくなっているかもしれません。いくらがんばってもしょせんこんなものさ、という雰囲気もあります。でも世の中が「こんなことをしたい」「こんな世の中にしたい」というたくさんの夢のおかげで進歩してきたのも事実です。テレビもファミコンも民主主義も飛行機も新幹線もカップラーメンも、誰かの夢から生まれたものです。今の世界が人間の限界で、これ以上の進歩があり得ない、ということもないでしょう。みんなはみんなの夢を持って、今のオトナたちを踏み越えて、もっとみんなが楽しく暮らせる世の中をつくっていってほしいです。
 山本はこの塾に来たとき、こんな夢を持っていました;
 「入試がなくなっても、生徒が授業を受けに来てくれるような教師になりたい」
 勉強は、本当はとても面白いものです。ファミコンなんかより絶対面白いです。山本はいい先生のおかげで勉強の面白さを見つけられたので、受験勉強もそんなに苦痛ではありませんでした。みんなにとって勉強が面白くないのは、点数だけを見たり、人とくらべるための道具にしたり、面白いところを抜き取ってバラバラの知識の詰め込みにしたり、面白さのわかっていない先生に面白くないように教えられているせいです。勉強の本当の面白さがわかってもらえれば、入試がなくなっても(いつか高校入試はなくなると思います)、塾の教師をやっていけるのではないか……という「野望」を持っています。
 今の山本はまだみんなに勉強の面白さをあまり教えられていませんが、「入試にも役に立ち、しかも面白い」授業ができるようになれたらいいな、と思っています。一緒に賢くなろうね。(1999/1/4)


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