これができたらノーベル賞


 人間にはまだわかっていないことがたくさんあります(わからないことの方がはるかに多い)。その中で「これがわかるととても面白い」「これがわかるととても世の中の役に立つ」ということがいくつかあります。将来みんながノーベル賞をねらうために? 思いつくまま挙げてみましょう。

 病気編
 @ガンの特効薬。今でもたくさんの人がこれをつくるために研究していますが、なかなかうまくいきません。ガンは普通の病気と違い「細胞の自殺」なので、防いだり治したりするのが難しいのです。根本的な治し方として遺伝子治療などが考えられていますが、まだこれからというところです。
 Aカゼの治療薬。カゼ薬はカゼそのものを治すのではなく症状がひどくならないようにするもので、カゼという病気を治す薬は実はまだありません。ウイルスをおさえるには抗生物質がありますが、副作用もありすべてのウイルスに効くわけではありません。これはガンの薬より売れるかもしれません。
 Bエイズの治療薬。エイズは体に抵抗力を奪う病気で、これもカゼと同じようにウイルスで起こります。今のところ発症すると治る見込みがありません。日本でもこれからまだ患者は増えるでしょう。世界中で約55万人がこの病気のために亡くなっています。この病気で人類が滅ぶ可能性もあると言う学者もいます。

 発見編
 @宇宙のはじまり。何もないところからどうやって宇宙ができたかについては、たくさんの人が研究していますが、本当のところはまだわかりません。ビッグバンといって、ある時突然大爆発が起こって宇宙ができた(爆発のせいで今でも宇宙はふくらみ続けているらしい)のですが、なぜそうなったのかも本当にそうだったのかもまだわかりません。
 A生きものが老化する理由。生きものの細胞の中にある遺伝子(設計図のようなもの)は赤ちゃんもお年寄りも同じものなのに、年をとるにつれて体が衰えていくのはなぜだろうか? 遺伝子の中に、自分の体をわざとこわしていくようなプログラムが仕組まれているという説もあります。この秘密がわかると「不老長寿」が実現するかもしれません。
 B生命のはじまり。地球で最初の生きものは、海の中でアメーバのような形でできたと言われていますが、人の手でどんな栄養分を混ぜてもそこから生きものができたことはありません。他の星から飛んできた隕石に細菌が着いていたとか、宇宙人が生きものを運んできたという面白い説もあります。
 C統一理論。電気の力、磁石の力、万有引力、原子の中で働く力などは、実は同じ仕組みで説明できるはずだという考え方があり、世界中の物理学者の興味の的です。これは山本にもよくわからない世界なので、興味のある人はぜひ大学で勉強してみてください。

 発明編
 @安全なエネルギー源。今の日本の電力源は、火力・水力・原子力の他に潮力や風力・太陽光発電などがあります(ウンコを発酵させて燃料をつくる方法もあります)。火力発電所は石油の枯渇と温暖化の問題、水力はダムが環境に与える悪影響、原子力は放射能による汚染と、どれも欠点がありこのままではどうしようもなくなります。環境にやさしいエネルギー源を見つけられたら文字通り「人類の救世主」です。
 A地震予知の方法。ナマズが……、というようなことは別にして、たとえば地面の細かい振動をあちこちではかって、地震の兆候がないかどうか調べるということも行われています。自信が多い日本では、これも本当に人の役に立つ発明になります。
 B自然に分解される素材。ビニールやプラスチックは、そのままでは腐らずずっと残ってしまうし、燃やしてもダイオキシンなど有毒なガスが出たりします。使っているうちは腐ったりせず、使った後は簡単にリサイクルできるような素材があるといいですね。
 C人間が自然と共生していく方法。@やBと関係しますが、今の人間は自然を「開発」という名目でどんどんこわしています。そのために滅んだ生きものもたくさんいるし、人間自身もとばっちりを受けています。今の世の中のあり方で「開発」を完全になくすのは難しいですが、このままでいけば遠くない将来人間も生きていけなくなるのは確実です。これは理科だけの問題ではなく、社会のあり方や生活の仕方にまで関わる難しい問題です。山本もこのことについて研究する仕事に就こうと思っていたのですが、落ちこぼれてあきらめてしまいました。自然をこわさずに、生きものも人間も生き続けていけるように、うまくやっていく方法を考えることがどうしても必要です。みんなにもぜひ、未来を開く方法を考えてほしいです。

(1999/2/16)


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