遠ざかる親の背中


 『大阪物語』という映画を見てきました。
 池脇千鶴という15才の女の子が主役で、両親(田中裕子と沢田研二;本物の夫婦)が売れない夫婦漫才師、あと10才の弟が1人。お金を使い込んだあげく家出したお父さんを、その女の子が友人と一緒に大阪中探し回る……という話です。
 山本は京都に長く住んでいて、大阪にはもう1つなじみきれてないのですが、この映画では大阪の下町の雰囲気がよく出ていてよかったです。
 映画で印象的だったのは、主役の子がお父さんを捜して、手紙を頼りに父親の知り合いを訪ね歩く場面でした。お父さんの昔の話、今の飲んだくれと全然違う父親の話を聞いていく中で、彼女の中の父親のイメージが変わっていくのが伝わってきて、最後に父親と出会えた時の女の子の顔が心に残りました。この父親は亡くなってしまうのですが、「父親探しの旅の中で彼女が得たこと」がこの映画のテーマだったように思います。

 みんなは、自分のお父さんやお母さんがどんな人か。みんなくらいの年の時どんな人だったか、知っていますか。
 普段家で見ている親の姿と、仕事をしている「社会人」としての姿は、ずいぶん違うものです。若い頃のご両親の話など、知らない人も多いでしょう。
 お父さんやお母さんの話がみんなにとって意味があるのは、みんな自身にとっての一番わかりやすいオトナの見本だからです。これからの自分がどんな路を進んでいくかを考えるためには、身の回りにいるオトナが若い頃どんなことを考えていたか、どんなふうに自分の道を決めたのかを知ることがとても役に立ちます。お説教のようなできた話だとヘキエキしてしまうでしょうが、誰でも迷い失敗し後悔もしながら自分の人生を生きてきたのですから、そういうお話を聞けたらきっとみんなの考える材料になると思うのです。お父さんやお母さんが話してくれなかったら、たとえばおじいちゃんやおばあちゃんからご両親の若い頃の話を聞いてみるのも面白いかもしれません(山本はやったことがあります)。
 別に親と同じ道を行く必要はないし、親の言う通りの進路を選ぶ必要もありません。ただ自分の将来を考える時に、「親の背中」を一度見ておくことは、きっとみんなの役に立つでしょう。
 山本の両親は中学校の教師でした。山本は高校生の頃まで「先生になんか絶対なるものか」と思っていましたが、何のまちがいかこの仕事に就いてしまいました。両親とも亡くなった今頃になって「もっと親から色々聞いておけばよかった……」とよく思います。
 もちろん身の回りのオトナは他にもいるでしょう。(塾の先生とか?) 自分のやりたいことを考える時に、焦らないでまずまわりをゆっくり見回してみる……というのもいい勉強ではないかと思います。
 みんなもたまには、池脇千鶴になったつもりで『大阪物語』をしてみたらどうでしょうか。(1999/4/20)


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