言えなかったひとこと


 無事に2000年を迎えることができました。今年もよろしく。
 (でも1月7日くらいまでは、まだ2000年問題が心配です。ニュースなどに注意しておいた方がいいですよ)

 去年の今頃も、山本は中3の人を相手に授業をしていました。
 当時の中3で、理科のよくできる女の子がいました。無口ですが補習などにはよく出ていて真面目な人でした。その子が冬期講習の最中のある日、山本に声をかけてきました。
 「私は高槻北高校にいきたいんですけど、中学校の先生にムリだって言われた。どうなんでしょう」
 山本は担任ではなかったので、すぐには返事ができませんでした。内申や模試の点を調べてみると、高槻北は楽勝、もう1つ上のランクの三島高校でも頑張れば合格するかな……というくらいの成績でした。彼女にそのことを言うと、
 「いけるんだったら三島にいきたいけど、うーん、……どうしよう」
 彼女は1月から2月の間、山本と話す度に「どうしよう……」と悩んでいました。授業の後、そうやって悩む彼女のまわりで、同じクラスの人が「三島は制服がないからいいなぁ」とか「このクラブをするんだったら北高の方がいいかな」などと話しているのを、山本は毎週のように聞いていました。
 2月の半ば、私立の入試が終わった後、彼女はまた山本のところに来て、
 「内申が少し上がりました。三島にいきたいんだけど、自信はないです。どうしましょう」
 その内申の点数だと、三島でもいけるだろうという感触はありました。山本は、
 「多分大丈夫だろうと思うけど、こわければ冒険しなくてもいい。自分の勝負だから、自分で納得いくまで考えて決めなさい」と言いました。
 その後、彼女は家族とも相談して、結局高槻北を受け合格しました。(打ち上げのポートピアにも一緒に行って、遊びまくりました)

 塾の商売という立場で言えば、もっと強く「絶対受かるから三島を受けなさい!」と言えばよかったのかもしれません。山本がそう言えば、彼女は多分三島を受けたでしょう。
 その"ひとこと"が言えなかったのは、失敗だったのでしょうか。みんなはどう思いますか。

 山本は、勉強の仕方や合格の可能性(見通し)については説明してあげられるけれど、入試という「勝負」にどう臨むかは、生徒ひとりひとりが決めるしかないと思うのです。
 どんな安全策でも、どんなに無謀に見える冒険でも、自分でどういう勝負をするのか決めて、結果に対して自分が責任を負うことが、みんながオトナになっていくための大切な作業になると信じるからです。彼女たちが授業の後で悩みながら話した時間は、きっととても大切な勉強になったはずです。
 これから受験に向かうみんなには、
 「どんどん悩みなさい。友だちや教師と相談しなさい。そして最後は、自信が持てなくてもいいから、自分で"人に言えるような"決断をしなさい。」と言わせてください。
 人のアドバイスを聞く力も、自分で自分の道を決める力も、それを家族や教師や友人に言える力も、将来みんなを支えてくれると思います。
 中3の人はあと2ヶ月(私立専願の人はあと1ヶ月!)、中2の人もあと1年と少しです。悩み苦しみながらでも、自分で納得のいく結果を出してほしいと思います。応援するからね!(2000/1/4)


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