どちらを向いているのか
プロ野球を見に大阪ドームに行きました。近鉄のドームでの最終戦ということで、内野席はパラパラ空席もありましたが、一番安い外野自由席は大入り満員。応援団の近くはトランペットやら歓声でうるさすぎるので、バックスクリーン近くの上段席で見ました。(野球を知らない人ゴメンナサイ)
意外でしたが、生よりテレビの方が選手がよく見えます。スピードガンで140qとか出ていても、遠くてよくわかりません。ホームランもスタンドへボールがフワッと飛んできて「えー、あれがホームランなの?」という感じです。
ケガで休んでいたイチローが9回の守りに出てきたり、土壇場9回裏にカズの代打ホームランで1点差に追い上げたり、盛り上がったいい試合でした。でも率直に言うと、試合より応援団の熱気の方が迫力がありました。応援のトランペットや旗振りの人が一生懸命なのが印象的でした。これは昔からの"おまつり"のノリですね。9回が始まる前に応援団のにいちゃんが来て
「どんな試合結果になっても、絶対モノを投げ入れないでください!」としわがれ声でどなっていたのにも「がんばってんねんなぁ」という気がしました。
気にくわなかったことが1つありました。5回終了後のチアガール・ショーも、試合後の選手の挨拶も、ぬいぐるみをスタンドに投げ入れたりするファンサービスも、全部内野席の方だけを向いていたことです。選手やチアガールは、外野席で一生懸命声を枯らして応援していたたくさんの人に、ずっと背中を向けていました。お金をたくさん払っていない人には顔も向けてくれないのか? ぬいぐるみがほしいわけじゃないけど、せめて選手みんながグラウンド一周でもしてくれたらうれしかったのになあ。
外野席だからよく見えないのはしかたないけど、プロ野球はコンサートと同じ「見せ物」なのだから、お客を感動させるように、勝ち負けはとにかく普通の人にできない技を、それができないならひたむきさや迫力を見せてほしいのです。これだけ応援している人がたくさんいるのに、あまり選手の熱気が感じられないのも残念でした。最後の挨拶も、内野席だけでなく全員の方を向いてするのが当然。それが「ファンの方を向いて野球をする」ということでしょう。
……などと帰り道に考えていて、ふと思い当たることがありました。この間テレビで「GTO」を見ていたら、
「鬼塚先生ほど生徒のことばかり考えている先生はいません!」
というセリフがありました。
このドラマは教師から見ると悪い意味でも「マンガ」で、現実感があまりないので山本は好きではないのですが、このセリフは心に残りました。山本は生徒の方を向いているだろうか?
学校は(塾も)、先生同士がなじんでくると、職員室の中が居心地よくなってきます。生徒のことをあまり考えなくても、なんとなく仕事ができるようになってきます。生徒のことを考えるのは重たいことも多いので、忙しくなってくたびれてくると生徒のことを考え続ける余裕がなくなってきます。結局事務的な仕事に追われて、いつの間にか子どもの顔が見えなくなってしまうのです。それはファンに背中を向けて野球をしていた野球選手と同じですね(全部の先生がそうだという意味ではないですよ)。
山本はどうか? と考えると、今はあまり「子どもの方を向いている」自信がないです。でも子どもから逃げるつもりはないし、もっとみんなのことを理解できるようにはなりたいなあ……とは思っています。
こちらからのお願いとしては、言いたいことは遠慮せずに言ってほしいです。あなたたちに山本の方を向いてほしいというのはわがままかもしれませんが、お互いに向かい合えるようになれたらいいなと思います。山本も色々工夫してみます。(1998/9/23)
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