教師の当たりはずれ

 この仕事をしていると、学校の先生の話をよく聞きます。
 一番多いのは、学校の授業がわかりにくいというものです。何を言っているのかわからない、雑談ばかりで授業時間がなくなる、実験を全然しない、すぐきれて怒る、質問しても相手にしてくれない、などなど。授業が全然わからないので、他のクラスの人のノートを写して勉強している人もいるとか(ご苦労様です)。もちろん学校の授業が面白いという人もいますが、数を比べると文句の方がはるかに多い感じです。
 まあ学校の授業に不満があるから塾に来ているとも言えるし、グチをこぼすというのもあるでしょうが、それにしても学校の先生がしっかり授業をしてくれないとしたら、困ったことです。

 山本も昔学校で教えていましたが、40人以上を一度に教えるのはやっぱりきつくて、「わからない」「つまらない」と言われたこともありました。あの頃塾で山本の授業に文句を言っていた人もいたのだろうと思うと、冷や汗が出ます。学校は授業以外の雑用が多くて、教えることに集中できない部分もありましたが、そんなことは言い訳になりませんね。

 塾の先生にも、わかりやすい先生・わかりにくい先生がいるでしょう。学校と違って塾はみんなが選べる場所ですから、わかりにくい授業は受けなければいいわけですが、実際にはみんなが先生を選べるわけではありません。あまり満足できない授業でも、我慢して受けている人もいるかもしれません。この塾では1年に2回、授業についてのアンケートをとっていますが、かなり文句を書かれている先生もいるようです。(山本は……まあまあかな。って何がまあまあやねん)

 大学に行くと、ほとんどの授業を自分で選んで受けられます。浪人生などが行く予備校でも、ある程度は講師が選べるようになっています。この塾でもそうできたらいいのでしょうが、色々な事情でまだ難しそうです。
 学校の方では、"指導力に問題のある教師"に研修を受けさせたり、場合によっては先生以外の仕事に変えさせるという計画もあります。しかし「指導力に問題がある」というのを誰がどう決めるのか(指導力があるかどうか決める先生に、本当に指導力があるのか?)、どうやってその先生をいい方向に変えていくのか、などはっきりしないところもあります。

 先生を選べないとしたら、どうするのが一番いいのでしょうか。もちろんよりよい授業ができるように教師が努力すべきですが、それだけではすべての生徒に合った授業はできないでしょう。
 突き詰めて言えば、いい授業を作っていくためにはどうするか、先生と生徒が話し合ってお互いを変えていく、それしかないような気がします。
 「先生は偉いのだから、生徒は先生の言うことを聞いていればよいのだ」という考え方の人は、本当の意味ではいい教師にはなれないでしょう。教え方が多少未熟でも、生徒のことを考え、生徒の言うことを謙虚に聞いて、生徒とお互いを高め合っていける教師の方が、生徒にとってよいのではないかと思います。山本もそうなりたくて、チェックシートなどを使っています。ただ(病気のせいもあるのですが)、年をとると自分を変えるのがだんだんしんどくなってくるのが、最近わかってきました。これはこわい。もうそろそろ引退する時期なのかなあ(ホンマにこわい)。

 教師と生徒が話し合って授業の仕方を決めていくと、生徒はどんどんラクな方を選んでさぼりたがるのではないか、と心配する人もいます。そういうこともあるかもしれません。でも本気で考えれば、みんな勉強がわかるようになりたい、勉強の面白さをつかみたいと思えるはずなのです。山本の生徒でもそういう人はたくさんいたし、山本自身もそうだったし、ノーベル賞をとった小柴さんもそう言っています。教師が本気で生徒のことを考えていけば、できるはずです。

 昔 学校にいたとき、一番信頼していた先生がこう言っていたのを覚えています;
 「子どもを好きでいられる人だけが、教師にふさわしい。子どもが好きでない人は、教師をやめた方がいい」
 山本もそう思います。そしてみんなが勉強の面白さをわかるように工夫していくこと、みんなの声をうまく聞いて話し合えるようにすること、それがみんなを好きでいられる証拠だと思っています。……あせらずボチボチ、でも前に進んでいきたいですね。(2003/2/17)


 今週の「映画」

   久しぶりに妻と映画を見に行きました。
   テレビでも宣伝している『戦場のピアニスト』です。
   ユダヤ人のピアニストが、ナチスドイツによって住んでいる場所を追われ、
   家族ともバラバラになりながら逃げのびたという、実話を元にした話です。
   当時のドイツはユダヤ人を徹底的に差別し、たくさんのユダヤ人を虐殺しました。
   映画の中でも、食べ物が買えなくなったり、
   ドイツ人に気まぐれで殺されたりするユダヤ人が出てきます。
   主人公の家族も結局皆殺しにされてしまうのですが、
   その割には主人公が悲しそうな顔を見せないのが不思議でした。
   人間は追いつめられると、普通の感覚ではなくなってしまうのでしょうか。
   テレビの宣伝ではおすぎが絶賛していましたが、山本はそんなに感動できませんでした。
   同じポーランド映画なら『地下水道』の方が面白いです
     (この映画はすごいです。いつか絶対見てください)。
   日本人も昔の戦争で、朝鮮の人を日本に連れてきて悪い条件で働かせたり、
   中国でたくさんの人を虐殺したりしました。
   ドイツ軍のしたことに「ひどいなあ」と思うのももっともですが、
   日本人がしたことの重みを知っておくことも大切だと思います。
   みんなには、戦争のむごたらしさ、戦争の醜さを、どうしてもわかっておいてほしいです。
   よかったらこの映画も見てください。
 



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