距離のとり方

 公立高校の入試が始まります。大阪府は日本で一番高校入試が遅いところなので、中3のみんなは「日本で一番最後の高校受験生」でもあります。
 中学生を教えていると、学年によって雰囲気が違うのがわかります。元気があって失敗をおそれない中1、中だるみもあるけど段々勉強のペースがつかめてくる中2、目標をめざして一生懸命になる中3。どの学年も面白いですが、労力を使う分だけ思い入れも大きいのが中3です。
 今年の富田駅前校の中3の人は、授業をしていて気持ちがよかったです。まあ成績は色々あるし、途中でやめてしまった人もいますが、全体としてはよく山本の授業につきあってくれました。成績が上がった人もたくさんいます。山本がみんなの役に立てたのなら、それがいい結果に結びつくなら、仕事をやっているかいがあるというものです。

 山本は結構お節介で、よけいなことまで口出ししたり、何度も同じことを言って煙たがられることもあります。補習もたくさんする方だし、教科書の問題が気にくわないと自分でどんどんプリントをつくってしまうこともあります。勉強と関係ない雑談をするのも好きです。イチゴアメパーティーをするのも、こんな通信をつくっているのも、この塾では(多分)山本だけです。
 本当に優秀な先生は、きっとあまりよけいなことはせず、授業の中で必要なことをきっちりやりきって、補習なども最低限にするのでしょう。山本はなかなかそうなれそうにありません。

 教師は生徒の友だちではありませんから、必要以上になれなれしくするのはよくないのかもしれません。生徒と距離を置くべきだと言う先生は、塾にも学校にもいます。
 山本も昔とくらべると、年をとった分だけみんなと距離ができたような気がしています。でも、自分からみんなと距離をとりたくはありません。勉強を教えるのはもちろんですが、自分のできる範囲で色々な話をしたいし、みんなの本音を知りたいです。それは、みんなのことを知ることが、教師としての自分を深めてくれるからです。また話を聞くことで、みんなの心の重荷が少しでも軽くなればいいとも思います。たいしたことは何もできないけれど、みんなの味方になって相談に乗ることができたらいいな、とも思います。もう1つは、山本自身がみんなと一緒にいることで元気をもらえるからです。子どもの持っている元気・明るさを吸収できるから、教師は他の仕事の人と比べて若くいられるのです。山本もそうしてきました。(……ドラキュラみたいですね)

 3月からの人はまだずいぶん「距離」があるかもしれませんが、少しずつ色々なことが話せるようになっていけたらいいな、と思います。よろしくお願いします。
 そして卒業していく中3の人とも、何かあれば相談に乗ります。みんなの「未来を探す旅」の話を、またいつかぜひ聞かせてください。これからの何年かは、人生を決めるための一番大切な時間になるでしょう。みんながこれからどんなふうに変身していくのか、どんなおとなになっていくのか、楽しみにしています。いつかまた会えたとき、いい顔を見せてください。元気でね。(2003/3/15)


 先週の「タマちゃん」

   神奈川の川に住んでいるアゴヒゲアザラシの「タマちゃん」を
   捕まえて北極に返そうとした人たちが、神奈川県から厳重注意を受けました。
   タマちゃんをつかまえるのに網を使ったのが、漁業法に違反したとか。
   結局タマちゃんをつかまえることはできず、タマちゃんは帷子川で元気にしています。
   でも山本は「これでいいのだろうか」という気もします。
   タマちゃんにとって、日本が一番住みやすい場所というわけではありません。
   タマちゃんはまだ子どもなので、北極に自分で帰る力はおそらくありません。
   仲間がいない場所では、子どもを作ることもできません。
   タマちゃんがアザラシとしての自然な生き方をしようとすれば、
   北極の仲間のところに帰るしかありません。
   今回タマちゃんを捕まえようとした人たちも、そう考えていたのでしょう。
   タマちゃんのことを真剣に考えるのであれば、
   どうするべきかをみんなできちんと話し合うべきだと思いますが……
 



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