勉強する理由

 この前テレビで、日本と外国の若者が討論する番組(『ジェネレーション・ジャングル』だったかな)を見ていました。戦争についての話だったのですが、日本の高校生が「日本って戦争をしていたの?」「私歴史のこと全然わかんない」などと言っていたのが印象的でした。
 自分たちの祖先が、外国の人たちとどんな関わりを持っていたのかまったく知らないで、外国の人とうまく話そうというのは、ムリがあると思います。

 外国人と比べて、日本人が勉強不足というわけでもないでしょう。でもたとえば歴史を勉強するのでも、テストの前だけに年号だの人の名前だのを覚えて何とかするというのでは、テストが終わるとすぐ忘れてしまうだろうし、本当の意味で歴史がわかったとは言えません。
 外国の人と話をするとき、深くわかり合ったり気持ちよく話したりするためには、お互いの国の歴史や関わり方をきちんと知っておいた方がいいはずです。歴史には「自分たちの未来を考えるために、自分たちの今まで歩んできた道を学ぶ」という意味や、ただ単に昔の人々の生き様に興味を持ってひかれる、というのもあるでしょう。でも特にこれからは、色々な人と話すために英語を学ぶのと同じように、色々な人とよくわかりあうために、お互いの歩いてきた道や今の暮らし方を知っておくこと=社会(歴史や地理)を勉強しておく必要があるのだと思います。そういうことを意識して勉強した方が、結局成績も上がるかもしれません。
 数学や理科にもそういう意味があるのでしょうか。みんなはどう思いますか?

 数学や理科は「自然科学」と呼ばれます。世の中にあるもの・できごと・生きものについて、実験や観察を元にして調べたり考えたりして、自然の中にある規則を見つけるのが、理科の役割です。なぜヒトは2本足で歩けるのか、なぜ水は透明で光を通すのか、なぜ宇宙にはあんなにたくさんの星があるのか、なぜ燃えるゴミと燃えないゴミがあるのか、そういうことの答を出していく中で、自然の中にある規則や理屈を見つけるのが、理科の目的でもあり面白さでもあります。(この通信の名前 Natural Scientist Club は『自然科学者クラブ』という意味です)
 同じことが数学にも言えます。数学というと計算や図形の問題を思い浮かべるでしょうが、数学で一番大切なのは「理屈で説明する」ことです。なぜ奇数と奇数を足すと偶数になるのか? なぜマイナスとマイナスをかけるとプラスになるのか? なぜ3角形の内角の和は180°なのか? そういうことを誰でも納得できる理屈で1つ1つ説明していくのが、数学の本当の意味です。たとえば大学入試で一番よく出る問題は「〜〜であることを(理屈をつけて)説明せよ」というものです。
 そういう数学や理科の理屈は、どんな人にも通じるものですから、さっき言った歴史と同じように、世界中の色々な人とつながるための道具にもなります。また(これはぜひ中3の人にも覚えておいてほしいのですが)こういう理屈の世界は面白いだけでなく、とてもキレイで美しいのです。山本は高校や大学で、少しだけその『美しさ』にふれることができました。いい音楽が人間を感動させるように、数学や理科の中にある理屈の美しさは、ホント他にないような感動ものです。せっかく長い時間をかけて学校で勉強してきているのですから、ぜひそういうものを一度は味わってほしいと思います。

 高校に入るとほとんどの人が携帯電話を使うようになりますが、携帯電話から出る電磁波(電波)を頭に長い時間浴びるとどうなるか、心配している人がいます。携帯の電磁波について、動物を使った実験は行われていますが、もちろん人間を使って実験をしているわけではありません。動物実験から「人間にも安全である」という結論を出すには、理科や数学の知識、またそれらを使って理屈で考える力が必要です。そういう実験をした人の説明を聞いてみんなが納得できるかどうかが問題です。
 自分の身の回りのことについての理屈の説明がわからないと、色々な場面でだまされてしまうかもしれません。理屈をわかっておくことは、面白さや美しさだけでなく、自分の身を守ることにもつながるのです。おとなになったとき「勉強しておいてよかった」と思えてほしいです。

 中3の人はこれから新しい世界で、勉強の本当の意味をつかんでいってほしいと思います。山本よりももっと「数学・理科の世界の美しさ」を見つけて、山本にぜひ教えてやってください。(2003/3/23)


 先週からの「戦争」

   とうとう戦争が始まってしまいました。
   テレビなどのニュースで知っているでしょうが、
   イラクの首都などにたくさんのミサイルが投下されています。
   戦争は何よりも「人殺し」です。いいか悪いかを別に置くとしても、
   人が死んだり生活が壊されたりすることは、どんな戦争でも変わりありません。
   そのことから目をそむけてはいけないと思います。
   また戦争は、自然を壊すことでもあります。
   今回の戦争では、イラクの油田に火がつけられ、大量の石油が燃えることによって、
   地球の温暖化が進むことも心配されています。
   みんなと同じ年頃の子どもたちが苦しむのを見るのは、山本には耐えられません。
   なんとか早く戦争をやめてほしいと思っています。
   日本は民主主義の国ですから、日本の政府がしていることの責任は、
   山本たちおとな全員にあります。
   みんなもいつかおとなになるのですから、今世の中で起こっていることについて、
   みんな自身の意見を持って行動できるようになってほしいです。勉強するんだよ〜!!!
 



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