アトムに寄せて
前回のお便りで書きそこないましたが、今年の4月7日は「鉄腕アトム」の誕生日です。アトムというのは、手塚治虫という人のかいたマンガの主人公のロボットですが、この物語の中でアトムが生まれたのが2003年4月7日になっているのです。
このマンガがかかれたのはもう50年以上も前のことですが、当時から見ると2003年というのは途方もない未来だったでしょう。このマンガでは、人間のようなロボットのアトムの他にも、宙に浮いて走る車、月や火星の探検旅行など、現実にはまだまだ実現しそうにないものが出てきています。それにしても50年前にこんな未来を予想した手塚治虫は、すごい人ですね。
アトムは今でも人気があり、新しいアニメとしてテレビでもやっています。『手塚治虫マガジン』という雑誌も発刊されました。宝塚にある手塚治虫記念館も改装されて、子どもでにぎわっているようです。
アトムは昔にもテレビでやっていましたが、テレビのアトムは原作のマンガとくらべてちょっと"子ども向き"です。原作のアトムにはあまりハッピーエンドの物語がありません。たとえば『手塚治虫マガジン』の創刊号にのっている『青騎士』は、身勝手な人間に弟と妹をこわされたロボットが、ロボットだけの国をつくろうとして戦うのですが、結局最後はこわされてしまう……という話です(アトムもこわされてしまう)。今の世の中にある差別の問題を、ロボットに置き換えて表している話もあります。人間に奉仕するためにつくられたロボットが悪い人間に対したときの苦しみ、人間の勝手によって運命を振り回されるロボットの悲劇……原作のアトムには、面白いけど重苦しい話が多いですが、その分深くて読み応えもあります。泣けるよ。
山本は小学校に入る前から手塚治虫のマンガを読んでいた"ベテラン"です。手塚さんのマンガで一番好きなのは『火の鳥』(未来編とヤマト編が特に好き)、その次が『ブッダ』(これもすごい話です。こんなの手塚治虫しかかけんで)『ブラック・ジャック』『アドルフに告ぐ』(大人向けですが歴史の勉強にもなります)、あと地味ですが『鳥人大系』あたり。今はほとんど文庫本で買えるし、図書館にも置いてあります。ぜひ色々読んでみてほしいです。
山本がひそかに思っているのは、日本はマンガに関しては世界一ではないかということです。『千と千尋』などの宮崎アニメをはじめとして、『アルプスの少女ハイジ』『アトム』『ドラゴンボール』『ドラえもん』などは世界的に有名だし、数え切れないほどのマンガ雑誌、すばらしいマンガ家がたくさんいます。アメリカのマンガも面白いけれど、日本ほど色々なジャンルの質の高いマンガがある国も珍しいでしょう。そのマンガ文化をつくった最大の功労者が、手塚治虫です。ノーベル文学賞をもらってもいいくらいだ、と山本は思います。
マンガよりも普通の本を読みなさい、という人もいますが、山本は「マンガも本も、いいものはどんどん読んでほしい」と思います。本には本の、マンガにはマンガのよさがあります。色々な本やマンガを読んでみて、その面白さを味わえるようになってほしいです(勉強も……すんねんで)。そういう意味でも、手塚治虫のマンガははずれが少なくておすすめ品です。若いうちに、感動できる作品にたくさんふれてほしいです。(2003/4/13)
先週の「カメ」
中1の理科で花を見るので、神崎川の河原へお花つみに行きました。
アブラナやカラスノエンドウなどをとっていると、
川で何かが泳いでいるのが見えました。よく見ると……カメ!
かなり大きめのイシガメが、川の水面近くをゆっくり泳いでいました。
思わず見とれてしまいました。
神崎川はおせじにもきれいとは言えない川ですが、
魚や、魚をねらってくる渡り鳥がたくさん来るところです。
カメも夏前には産卵期に入ります。勉強などで疲れたとき、
身近なところでボーッと生きものを見てみるのもいいと思いますよ。
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