いっしょうけんめいが好き

 プロ野球の阪神タイガースが18年ぶりに優勝しました。
 山本は10年くらい前から阪神ファンになりました。当時の阪神は弱くて、くやしくて勝った時以外はあまりテレビも見ませんでした。3年前に初めて甲子園に行きましたが、外野スタンドの端から見る選手は小さくて、妻と「テレビの方がよく見えるねー」などと言っていました(アホや)。


 今はサッカーや大リーグのファンもたくさんいますが、山本は日本のプロ野球が一番好きです(見るスポーツとしては、アメリカンフットボールが一番面白いと思う。一度機会があったら見てみてください)。野球そのものはアメリカ大リーグの方が多分レベルが高いし、だから日本の選手がどんどん大リーグに挑戦するのでしょうが、どうも山本にはなじめません。  それは、アメリカの野球は「顔」が見えないような気がするからです。たしかに投げるのも打つのもすごいけど、ひとりひとりの選手に対して思い入れを持って見られないので、つまらないのです。

 大阪にいると、阪神の選手の色々な情報が手に入ります。長い間二軍で苦労してはい上がってきた人、ケガを克服して見事に復活した人、試合に出ようとして必死に練習する若手、負け試合でもくさらずに投げ続けるベテラン投手、テレビには映らないけれどチームを支える裏方さん。そういう人たちが集まって勝つために一生懸命に努力する、その時の「顔」を見るのが好きなのです。失敗や挫折を経験しながら、それをのりこえていいプレーを見せてくれる選手を見ていると、自分もがんばらなきゃ! という気持ちになります。インターネットを見ていると、同じ思いの野球ファンがたくさんいて、選手への思いのたっぷり詰まったいい文章を書いています。
 昔は雑誌に野球マンガがたくさんのっていて、そういうプロ野球の面白さを教えてくれました。『どぐされ球団』『野球狂の詩』あたりが特に面白いです(古本屋に……あるかな?)。山本が日本のプロ野球にこだわるのは、そういう情報やマンガが体にしみついてしまっているからかもしれません。

 単に「速い球が投げられる」「ホームランをたくさん打てる」ことがすばらしいなら、薬や手術をして体を改造したり、極端に言えばロボットが野球をした方がいいかもしれません。でもそんな野球では誰も感動しないでしょう。みんなと同じ人間がやっているからこそ面白いのです。
 サボリもあり失敗もあり、負けの多かった時代をくぐり抜けて、ようやく日本一に挑戦するところまで来た阪神の選手を見ていると、人間が成長していくことのすばらしさを感じます。
 それはみんなを見ていても同じです。勉強に一生懸命取り組んで、新しいことがわかる・できるようになったとき、みんなはとてもいい「顔」をしてくれます。山本はそういうみんなの顔を見るのがとっても好きだし、そういう顔がたくさん見られるような授業をしたいです。

 何かにひたむきになっている時、人間は誰でも「いい顔」になれると思います。どんなお化粧や服で着飾るより、かっこよくきれいになれます。山本はみんなの顔を見ながら授業をするのが仕事ですから、そのことがよくわかるつもりです。みんなもクラブなどで、一生懸命に何かをやっている友だちの顔を見ればそれがわかるでしょう。そのことを覚えておいてほしいのです。人間がきれいになるのは、外見やお金や地位や学歴じゃなくて、その人自身の中から出てくる思いの強さからくるのだと思います。今年の阪神の選手、そしてみんな自身がそのことを証明しています。

 努力して今までの限界をこえたとき、今まで知らなかった新しい自分を見つけることができます。弾けなかった曲が弾けるようになったとき、クラブの試合で勝ったとき、解けなかった問題が解けるようになったとき、前よりもっとうまい絵がかけるようになったとき、新しいあなた自身を見つけることができるでしょう。そういう経験をたくさんしてほしいし、この塾でもそういう思いを味わってほしいです。「どうせ私は……」といってあきらめてしまう"昔の阪神選手"みたいなオトナになってほしくありません。(山本は……? どうなんだろう。うー)
 勉強に関して言えば、「この科目なら絶対一生懸命やれる」という科目を見つけてほしいです。みんながオトナになったとき、「あの科目は一生懸命勉強したし、結果も出せた。面白さもわかった」という気持ちがあれば、それは必ずみんなを支えてくれます。

 すべてに対して一生懸命というのは難しいでしょうが、自分の得意技を見つけて、自分の限界をのりこえる経験をたくさんしておいてください。山本も"裏方"として、それを手伝えたら幸せです。がんばろうね。(2003/10/26)

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