失敗だけが成功のもと
山本は不器用な人間で、今までに仕事の中でたくさん失敗をしてきました。みんなのことをしかる資格があるんかーー というくらい。
まちがったことを教えたり、えこひいきをしたり、生徒を傷つけるようなことをしたり、成績を伸ばせなかったり。だいぶ前ですが生徒をたたいてしまったこともあります。まあ今はそんなに大きい失敗はしていない……つもりですが、小さい失敗はたくさんあって、授業が終わってから落ち込むこともたくさんあります。自分自身で「今日はうまくいった!」と言える日は、1年で数えるくらいしかありません。
この仕事を始めた22才のときは今から考えるとほんとにムチャクチャで、1回の授業でたいてい1回はウソを教えていました(ひえー)。よく生徒がついてきてくれたと思います。もうやめようと思って何回も『辞表』を書きました。出さなかったのが不思議。
29才で学校の教師になったときはもっとひどくて、高校生からそっぽを向かれてまるっきり授業にならず、うるさいわ勝手に席を替わるわ堂々と寝るわ消しゴムが飛んでくるわ、休み時間によく理科準備室で泣いていました。教科書を使った授業でみんなを引っ張る力がなかったので、マンガを読ませたり、歌を歌ったり? 教材を毎日作ったり、色々やってみたのですが、どうしてもうまくいきません。
同じ理科を教えているベテランの女の先生の授業をよく見学しました。特に面白いことをしているわけでもないのに、生徒もきちんと授業を聞いているし、生徒がその先生を信頼しているのもよくわかります。どうしてあんなふうにできるんだろう。情けない気持ちで話をしました。
「どうしたら生徒にとっていい授業ができるんですか」
「まず生徒の顔をよく見ること、生徒の声をたくさん聞くことかな。あなたはまだ未熟なんだから、生徒から教え方を教えてもらいなさい」
「子どもを傷つけるようなことをよく言ってしまうんですけど……」
「それは子どもへの言葉を通して、あなた自身の心が見えているのよ。もっと自分のことを勉強しなさい」
「……教師に向いているかどうか悩んでいるんです」
「はじめから教師に向いている人なんていないよ。誰でも失敗を重ねながら本当の教師になっていくのよ。失敗しなさい。そのときの自分と子どもの気持ちを覚えておきなさい。ひとりの子どもを傷つけてしまったら、あとで10人の子どもを支えられるようになるしかないの。失敗だけが成功のもとなのよ」
励ましてくれているのはわかるのですが、あんまり元気にはなれませんでした。失敗しなさいなんて……
でも10年たった今 振り返ってみると、自分を支えているのは本や研修会での経験ではなくて、失敗の苦い記憶です。山本がたたいてしまった子どもの顔、うまくいかなかった授業の重苦しい雰囲気……今でも思い出します。もう2度とあんな思いをしたくない。お金のためじゃなくて、最後にみんなといい気持ちを味わいたいから、いやな思いをさせたくない。そういう気持ちで仕事をしているつもりです。これがあの先生の言っていたことなのかな と、最近になって思います。
みんなにも失敗をする権利があります。山本がいつも言っているように、授業の中でまちがえてもいいのです。失敗をおそれるより、やってみてまちがえた方が賢くなれることもあります。勉強に限らず、色々なことをやってみて失敗もしながら成長していく、それが子どもの権利です。
数学や理科を作ってきた人々も、まちがいや失敗をたくさん積み重ねながら、今までにない発見をしてきたのです。ノーベル賞を取った京都の田中さんも、ちょっとした実験の失敗から大発見をしました。失敗をおそれては新しいものは作り出せません。だから「失敗だけが成功のもと」なのです。
山本もまだたくさん失敗をしていると思います。今年は授業の後で「反省ノート」を書いているのですが、みんなにもチェックシートに色々意見を書いてほしいです。頼りにしていますよー。よろしくお願いします。(2004/1/12)
先週の「お正月授業」
中2理科……冬休み中でクラブがなかったのか、
遅刻もあまりなく授業への集中力もなかなかいい感じ。
欠席もありませんでした。
後半ややへばったのは山本の説明が速かったから?
T校中2数学……学校(クラブ)が始まったせいか、みんなダルそう。
証明をやろうと思ったのですがあんまりしんどそうだったので、
角度の問題をやりましたが、「しんどかった」けっこうあり。うーん。
I校中2数学……いつもと同じかな? 問題を解く集中力はなかなかのものです。
新しい人もまじめにがんばってくれました。
番外;I校小5算数……1月5日だったこともあって、8人中5人が休み。
3人ではどうしようもないので復習をしましたが、
となりの小4が「ことわざカルタ」で盛り上がっているのがなんともうらやましい。
算数カルタなんてないかなあ。
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